第367回 自然のめぐみ

相模湖で自然農を行うSさん夫婦「おだやか家」とは震災後に出会いました。
彼らも東京で生活していたのですが、震災後に相模湖に引っ越し、自然農を始められました。

ご主人はほぼ専業農家として、また奥様はヨガやお料理の先生をしながら、ほぼ毎週、いろいろな人を招いて畑での農体験と、そこで採れた野菜をつかったお料理を楽しむ「だいずのいのち」というイベントを開催しています。

だいずの「はざかけ」という作業。
だいずの「はざかけ」という作業。

メインとなるのは1年間を通じて育てる、津久井在来種という昔からこの地方で大切に守られ育てられてきたダイズを苗から育て、夏過ぎに枝豆として収穫、その後はダイズとして収穫し、きな粉や納豆、そして味噌にするという過程を体験するというものです。
私らが昨年夏に見ていたダイズで今年の2月につけた味噌が、12月には出来あがるのを心待ちにしています。

畑にはそれ以外にもシーズンごとにたくさんの野菜が収穫でき、それを育てることを通じていろんな人の農体験や新しい生き方、意識へのステップになればというのがSさんたちの願い。

震災後目まぐるしく変わりつつある世の中で、これからを生き抜くために「自分らで食べるものは自分らで作れるようになっておきたい」という私ら夫婦にとって、このイベントに参加することは何よりも大事なものになってきました。

朝もやが美しい相模湖。
朝もやが美しい相模湖。

またそれまでほとんど縁のなかった相模湖という場所ですが、本当に静かでいい場所。
近くには移住者と地元の人が協力しコミュニティつくりに成功している藤野というエリアもあり、そこでのネットワークを通じて友人もできてきました。

横浜での生活はもちろん快適ですし、便利さでは圧倒的ですが、それとは異なる自然の中で生きる体験ができるうえに、農業を教えてもらえるということで、私ら夫婦は、ほぼ毎週のように足繁くそのイベントに参加するようになりました。

ワイルドルッコラ。素晴らしい色。
ワイルドルッコラ。素晴らしい色。
小松菜。こんなにキレイだったんですね。
小松菜。こんなにキレイだったんですね。

畑は完全無農薬、無肥料、しかも耕すこともしない不耕起。
あくまでも自然の力を借りながら土をよくして、さらに作物自体のもつ生命力を高めていくという方法ですが、ほっぽらかしにするのではなく、雑草を手で抜き、作物の状況を丁寧に観察しながら作業する大変手間のかかる手法です。

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大喜びの子供達。

しかしSさんは大変な勉強家で、彼が作る野菜は他の農家さんが「どうしてこんなになるの?」というほど生命力に満ち溢れたものになるのです。もちろん味も最高。
「だいずのいのち」はあくまでも体験なので、大変な農作業をすることもなく、毎度いろんな方々が来て楽しく畑を体験。先日も芋掘りを子供達と楽しくやりました。

採れたて野菜をつかったベジ料理。最高です。
採れたて野菜をつかったベジ料理。最高です。

それが終わると奥様が採れたての野菜をつかって作ってくれる、最高においしいベジ料理を楽しむ時間です。
子どもはもちろん、大人の参加者もみな口をそろえて「癒やされました」「楽しかった」と口にして帰られます。

考えてみれば、できている畑の作物をプチッと取ってそのまま食べれるなんて自然農だからこそ。
畑にはバッタやカマキリ、蜘蛛やてんとう虫など、本当にたくさんの生きものがいます。
安心できる食と暮らしというものがどういうことなのかを理屈でなく体験できるのです。

プロとしてたくさんの収量や整ったかたちを求められる農家さんを否定するつもりは全くありません。私の友人でもそこに誇りをもっている農家さんがたくさんいます。

この「だいずのいのち」を通じて私らが挑戦したいのは仕事としての農業ではなく、あくまでも自分らが食べるものを自分らで作りたいという極めて自然で原始的な欲求からくるものなのです。

畑の裏手を降りると相模川。
畑の裏手を降りると相模川。

まだまだ始めたばかりですが、少しずつライフスタイルをシフトし、持たないけれども豊かな生活を送れるようになるためのチャレンジが楽しいです。
ご興味がある方、一緒に参加しませんか。気持ちのいい1日になることをお約束します。
また、今採れたての野菜セットも期間限定で販売中。自然農で育った本当の野菜の味を試してみたい方はぜひどうぞ。

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