第48回 Scenes from an Italian restaurant

070302

「彼女にはどんなサウンドがしっくりくるだろうか・・」

 その人はいきなり、本当にいきなり逝ってしまった。

 また一人。

 1時間のプレゼンテーションだけの為に大阪出張。プレゼンを終え、充実感を覚えながら夕日がきれいな淀屋橋の上でメールを見た川村が絶句した。

 川村がこの組織を立ち上げるきっかけの大成功を収めたキリンのサイト「極楽クラブ」をはじめ、現在もキリンヤクルトネクストステージ、エンタミレルで魅力的で楽しいブログを、プロ級の写真と一緒に本当に精力的に書いてくれて「いた」大事な大事な我々ファンサイトの仲間の一人。

 フォトエッセイストで料理研究家のカマタスエコさん。

 私よりずっと川村とパートナーとして長くやってきた先輩なのに、私たちにも何の分け隔てなく接してくれ、おしゃれで頭もよくて楽しくて明るい、本当に感じのいい人だった。

 私がこのチームのメンバーとして加わる前、何人かの近しい人を立て続けに亡くした。

 そのときどん底に近かった私は否応なしに「死」に向き合わされたこと、そしてそんな状況の中でどのように生きていきたいかを自分なりに模索し一つの結論を出したこと、同じような体験をした川村との出会いに必然的なものを感じたことを、出会いの時に語ったのを覚えている。

 人は必ず死ぬ。その厳然たる事実を前に、どう自分をシフトさせるべきか。私はそのころから、揺るがない一つの指針を立てたように思う。

 私の存在が彼女のように誰かの心に残るために、今を精一杯生きるしかない。

 信頼し尊敬できる人たちとできる限り誠実に向き合って一緒に生きていくしかない。

 厳然たる事実をまだ受け入れられずに地元の駅に付いた帰り道、

「彼女にはどんなサウンドがしっくりくるだろうか。。」

 無意識にそんなことを考えつつ、ウォークマンに入っている限られた曲の中から、元気だった彼女が喜びそうな曲を探した。

 ・・・あった。

 Billy Joel “Scenes from an Italian restaurant”

 歌詞の内容など全くそぐわないけど、サウンドが直感的にその曲を選んでた。絶対気に入ってくれるはずだ。

 まあ、いつ電話しても本当に明るく元気な声で答えてくれた彼女のことだから、許してくれるだろう。

 カマタさん、そりゃあないぜ!って皆思ってるよ。でもカマタサンが一番そうだろうけどさ。この曲、聴いてみて。知ってるかもしれないけど。

 ま、うちら頑張っていくからさ。見ててよ。
 しばしのお別れです。また会いましょう。そっちでもおしゃれなカフェ、見つけといてください。

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