先週末、家族のように仲良くしてもらっている相模湖の「おだやか家」の島崎夫妻に誘われ、千葉県香取郡神崎(こうざき)町にある造り酒屋「寺田本家」の工場見学ツアーに出掛けてきました。
東京駅で待ち合わせ、そこから成田線に入り1時間半。下総神崎駅から歩いて15分くらいのところに寺田本家はあります。
茨城県の県境となる利根川の堤防がすぐ見えるこの町は、古くから江戸方面への物流拠点となっていたそうで、寺田家さんは江戸時代の延宝年間に滋賀近江から移り住んだとても歴史ある造り酒屋さんなのです。
ここは、私らが友人らとここ最近ずっと注目している「発酵」においては大変に有名な酒屋さん。
とにかく自然の微生物のもつ「醸しの力」を信じた酒作りを行っています。
無農薬で在来種の自然米、水は蔵に繋がる神崎神社の森に蓄えられた井戸水を使用。
その材料をお酒にする微生物を大変大事にし、この時代に機械を減らし、ほとんどは職人さんたちの手づくりで酒を仕込むのです。
さらにその過程で、昔から伝わる「酒作り唄」を歌いながら仕込むというこだわりよう。
「微生物も唄と響き合ってワクワクと発行しお酒にも楽しい気が込められて飲んでいただいた皆様が楽しく元気になっちゃうお酒ができればと願っております」とパンフレットにも書いてあるとおり、とにかく命ある微生物やお米を愛をもって酒作りをしているのです。
到着して蔵を改造したステキな食堂で、地元の野菜を使ったおいしいお弁当を食べ、その後にお米を炊く大きな釜、そのお米に麹菌を混ぜる部屋、その後それを増やしていく酒作り唄を24代目の寺田優さんが歌ってくれました。
なんとも言えない優しい響きの唄を微生物も聞きながら育っているのか・・・とジワジワ感動します。
https://www.facebook.com/harutasita/videos/vb.621485344/10153493721230345/?type=2&theater
その後大きなタンクに入った、熟成をまつお酒を見せてもらうのですが、驚いたのは熟成途中の酒蔵に入れてくれたこと。
普通はいろんな人が来ることで、他の菌が影響を及ぼすからと蔵を見せてくれないところもあるなかで、寺田家さんでは菌の力を信頼して、見学者に開放してくれただけでなく、ひしゃくからちょっと味見までさせてくれるのです。
そこに直接姿は見えないけれど、長年愛をもって酒を作ってきた人間と菌の「仲間同士の信頼感」を強く感じて感動しました。
そうやってできたお酒を6種類も試飲させてくれたのですが、お酒の弱い私が日本酒を飲むとよくなる頭痛が全くなし。
味ももちろん最高ですが、フワーっという高揚感が続き、スキっと覚める。その後味のよさにとにかく驚きました。
ここ寺田本家は女系家族だそうで、代々お婿さんを取ってきたそうですが、元はカメラマンから転職され、この歴史ある酒蔵を継いだ23代目寺田優が言った「和醸良酒」という言葉。
和=愛の心が良い酒を醸すという意味ですが、まさに真理だと思います。
「醸しの力は愛の力」だと思うのです。人間関係もこのように醸せる人間になりたいなあ、と感じた工場見学でした。
おだやか家のお二人、またご案内してくれた寺田本家のみなさん、本当にありがとうございました。