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第68号『せっかち文化の課題』

西日本JRの悲惨な事故が起きました。
原因については色々に取り沙汰されていますが、こうした事故の背景には時間についての私たちの意識の在りようが大きく影響しているようにも思えます。

以前にロバート・レヴィーンと言う社会心理学者が書いた「せっかち文化とのんびり文化の徹底比較」をした本を読んだことがあります。
この本は31ヶ国の生活ペースを測定しデータ化したとてもユニークな調査報告だと思います。
この著作では、生活ペースを測定する尺度として、歩く速度、労働の速度、公共の時計の正確さという3つを設定し、世界中の都市を測定したとのことですが、その結果 、第一位はスイス、日本は僅差でドイツに次いで4位、ヨーロッパを除くと生活テンポは猛烈速い国ということになったそうです。

調査によれば、ヨーロッパは、生活テンポの早さは世界一、アメリカよりも早いとのことで、どうも私たちが抱いているヨーロッパのイメージとはマッチしません。
豊な時間を楽しむライフスタイル、いわゆる「甘い生活」をヨーロッパの人々は捨ててしまっているのでしょうか?
また時間に追われたノイローゼ、疾病、事故が多発しているのでしょうか?
事実は、どうも違うようです。
ヨーロッパのある調査会社では、EU加盟国の人々に「やらなければならないことをするために、あなたが使える時間」についてどう感じるか、を質問したところ、全回答者のおよそ83%が「非常に満足」あるいは「かなり満足」という回答を出したと報告しています。

一方、日本では、70%もの男女が共に「時間に追われている」と感じています。
しかし、この焦燥感とも言える時間意識が、つい最近までストレスとなり、そのまま多くの個人や社会のトラブルなどの引き金に成らずにいたのは、何故でしょうか?
それは、男性の例でいえば、会社への帰属意識、同僚との時間を共有、ある意味では公私混同という曖昧な状況が、安全弁として働いていたのではないだろうか?
この社会心理学者はこう分析します。
また「ワークホリック」こそが、日本人の心の安定性を維持しているとも。

しかし、時代は不景気へ、競争へと大きく変わっています。
そして「生産性と効率の時代」です。
いまや、安全弁であった、義理とか付き合いとかの曖昧さや「カイシャ」がいまや急速に無くなりつつあり、忙しい振りをする、多忙を自慢できる、お互いに傷をなめ合う場所も機会も、その存在すら許されません。
ワークホリック以前に「お仕事」自体が無くなりつつあるからです。
いわばせっかち文化の安全弁がはずれたのかもしれません。
そしてこうした時代では「タフ」な機械のような心の持ち主しか生存できないのです。

先日、EXPOに行きましたが、特の目立ったのが高年齢の人々の会場に向かい走って殺到する姿です。
時間はたっぷりと有るはずなのに「時間に追われる」「時間をマイペースに管理不能」な時間貧乏人の姿です。
恐らくEXPOは、時間に追われたい人々にとっての「まじめさ」「けなげさ」「努力」を発揮し実感できる、数少ない楽園なのかもしれません。

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