ファンランドへようこそ #3 時間という「タラント」

ファンランドへようこそ。ファンサイト有限会社、取締役の川村勇気です。

人生もやっと半分を超えてくるといろいろ見えてくるものもあるわけですが、最近よく思うのは、有形・無形を問わず、とにかくあらゆる財産は投資と同じで「時間が味方をする」ということでしょうか。

聖書のマタイという章の中に、キリストが弟子たちに語った「タラントのたとえ話」というものがあります。
ある主人が旅に出る前に、3人の僕を呼び、それぞれ異なる金額(タラント)を託します。
3人のうちふたりは、主人の留守の間に事業や商売でそれを増やし、数年後に主人が帰ってきたタイミングでそれを返すことで、主人に称賛されます。
しかし残りのひとりはそれを地中に埋め、主人にそのままの金額でそれを返した結果、激しく叱責されたうえでタラントを取り上げられ、追放されてしまう…という話です。
このエピソードを始めて聞いた子どもの頃は、3人目の彼は別になにも悪いことをしていないのに、ちょっとかわいそうだなあ、くらいの印象でしたが、要は神様から与えられた才能や機会を生かすか怠けるかは本人次第であり、努力を惜しまない者に神様は喜んでさらに大きなチャンスをくれる一方で、怠け者は与えられたものすら取り上げられる、という教訓は非常にリアリティがあるなと思います。

私はスポーツトレーナーとしての立場もあるのですが(一応JSPOの指導者資格も持っています)、フィットネスやダイエットの世界で一朝一夕というものはなく、今の努力が目に見えるかたちであらわれるのは、小さな効果で早くて1か月後、変わってきたかな?と違いが分かる効果が3か月~1年後、もっとも競技として核となる機能は3年後くらいにやっと自覚できる状態になるものも少なくありません。
また一般論として、1か月間ハードなトレーニングをしてやめてしまった人と、1年間ゆるくトレーニングをしてから運動をやめた人では、後者の方が筋力がより長く持続するというデータもあります。

まさしく「継続は力なり」。私は、運動やダイエットを挫折する最大の原因は、この時差にあると考えています。
こんなに頑張っているのに効果が出ない。この努力は私には向いていなかったのか…やはり無駄だった。。という絶望が、いろんなチャレンジの意志を砕いてきたのではないでしょうか。
しかし実のところ、投資した翌日に大幅な利益の出る金融商品などないように、すぐに結果の出る努力など存在しません。
イチローさんが「小さなことを積み重ねることが、とんでもないところへ行くただ一つの道」とおっしゃったように、結果をもたらすのはいつだって、忘れてしまうくらい昔からやってきた積み重ねでしかないわけです。

ちょっとスポーツの話に寄ってしまいましたが、これはビジネスの世界でもまったく同じだということに、ようやく最近気づくことができました。まさに「不惑」ですね。
個人的には、数年単位でいくつかの異なる分野でのハードワークを乗り越えてきたか、という経験が、数年後に大きな差を生むと考えています。
例えば、最近は転職はかなりポピュラーな選択肢になりましたが、年収を下げる転職はまだネガティブな印象があるのではないでしょうか。
ただ、それでもコンフォートゾーンから脱することには十分価値があると思います。
私も転職によって最初の会社から徐々に年収を下げる経験をしてきましたが、これまで複数の企業で勤めたり、またフリーランスとしていくつもの組織で数多くの案件を担ってきたからこそ、かぎりなく多様な汎用性を身に着けることができました。
そして最終的にはそれが、「でもビジネスパーソンとしての成長はできた」とか「やりがいは増した」といったファジーな利益ではなく、実際の満足できる収入につながっています。ただ、それが自覚できたのは、私の場合で開業してから3年ほど経ってから徐々に…、という具合でしたが。

仮にまだNHKに勤めていたら、ファンサイトで新規事業を立ち上げながら、日本近代五種協会で競技団体の運営をしつつ、同時にスポーツ事業会社でサラリーマンとして働くことはできなかったと思います。
最初の転職は地獄でしたし、フリーランスとして稼げるようになるまで数年かかりましたが、あそこでアクセルを緩めてしまっていたら、いまのように自分が十分納得できる働き方はできていなかったと思います。

組織についても、まず「続ける」ということ自体がブランドになると考えています。
私たちファンサイトも、24年間にわたり、順風満帆ではなかったものの、たゆまずサービスを届け続けてきたという事実が、大きなアセットになっているのは間違いありません。
実はこれまで株式公開に向けた議論もありましたが、「有限会社」であること自体が歴史の証左になるという観点から、いまだにファンサイトは有限会社を継続しています。
※2006年の会社法改正により「有限会社法」が廃止され、有限会社は株式会社の一つの種類として存続することになったため、現在日本では、新たに有限会社を設立することはできない。

刹那的なコンバージョンに偏ったマーケティングはだいぶ前に限界を迎え、企業担当者はどうやってファンに選んでもらうためのブランディングをするか、頭を悩ませながら、新しいメディアやプラットフォームを探し求めています。
しかし、ブランドというアセットもまた、ほぼ時間がつくっていくもの、という事実から目を背けることはできません。
ファンマーケティングの専門家としては失格かもしれませんが、それでも今日より早い日はありません。
いま、どんなフィロソフィーを掲げ、それに基づきコミュニケーションを設計し実行するかが、将来のブランド力に大きく影響してくる、という観点から、3年後、10年後、そのもっと先を見据えて、ファンサイトはコンテンツを提案していきます。

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