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第120回『トップがくしゃみをすれば、クリエイティブ現場は首が飛ぶ』

企業のメッセージは、パッケージ、店舗、広告などすべては表現化され「見える」カタチ、すなわちクリエイティブとなって世間様に紹介されています。
そしてこの見えるモノに仕立て上げていく過程で、企業内部では、誰に対して、何を、何時、どのように見える必要があるか、どの様に見せればいいか、が検討されていることは言うまでもありません。
いわゆるクリエイティブ戦略ですね。

クリエイティブはいったんカタチとなって世に出れば、それは一人歩きをし、企業にとって都合がいいか、悪いかは別として色々な評価に曝されます。
評価は、人により、価値観によりまったく違うことは珍しくありません。
当然のことですが、メッセージの受け手は、企業の事情、主張などには無関心ですし、気まぐれで無責任な立場にいるからです。
そしてこうしたことはメッセージの発信者としては、「想定内」のことです。

企業の外にあっては、すべての人々に思惑通りのメッセージを送り届けることは不可能で、そのメッセージとカタチがいいか?悪いか?他のコミュニケーションとの整合性は取れているか?などなどを含めた発信サイドの狙いや戦略如何に関わっています。
したがってクリエイティブを行うスタッフやチームでは、その活動の是非については、それなりの評価基準を持っています。
この評価基準は文書化されるものもありますが、スタッフ同士が共有する暗黙の基準である場合も多いのです。
しかし、こうしたことはクリエイティブの現場を除く企業内部の組織、とくに組織を管理する側やトップではなかなか理解されないことです。
そして困ったことですが、彼らは自社のクリエイティブが世間に登場し、社会化されるにつれ市井の人と同じレベルで評価しがちです。
関心をもって頂くのは結構なことですが、問題はご本人の趣味、嗜好によるもの、奥様やお嬢様、友人など極めて限られた人間関係からの声を反映しているものなど、それら評価に客観性を欠く場合が多いことです。

前にも触れましたが、マーケティングやクリエイティブに関わるスタッフの立場は、社内的には弱く、したがって行動的には客様優先は建前、心情は、極めて強い内部志向の典型サラリーマン。
身の処し方は、つねに目線が上にある「平目」型処世が通り相場です。
そんなわけで社内の声、とりわけトップの声には敏感で、それは「神の声」に値します。
そしてその声が権力者からであれば、その真意を問いただして、一歩踏み込んだ意見として受け止めていこうとする勇者が、どれほどいるでしょうか?

かつて某ヘアケア会社の重役がコピー表現について不満を漏らしました。
クリエイティブ責任者は、問題の真意を検討することなく、急きょ、コピーライター十数人の起用を行って正解を得ようとしました。
起用されたライター達は、何が問題か?が分からないまま作業し結果、双方に残ったのは不満と不信、疲労でした。
こうしたことはコピーばかりではなくデザイン、写真、その他クリエイティブを構成するあらゆる要素に関わりよくあることです。
これらの要素を変えることは、一見部分的なことであっても、それまで練り上げて積み上げてきた成果を廃棄し、クリエイティブ活動の全面にわたる再構築にもつながる場合もあります。
出来上がったクリエイティブについは、誰でも一家言を持つことができます。
また気軽に評価もできます。
しかしそれは「好き、嫌い」の範囲でしょう。
クリエイティブ活動は、企業にとって大切な活動の一つでトップが関与することは大いに歓迎すべきことです。
しかしそれならそれでしっかりした合目的なクリエイティブ管理のスタンスでの物言いが必要でしょう。
唐突なトップの不用意な発言は、クリエイティブ活動の混乱をもたらし、対外的な側面で見れば百害あって一利ありません。

「トップが鼻風邪を引けば、現場は首が飛ぶ」現実を企業トップは認識し、同時にトップたる者、クリエイティブ活動の有り様を読み込む素養、能力を身につけて欲しいものです。

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