第10回 アクアパッツア

アクアパッツア

早いものでファンサイト通信「食とロック」を書き始めて今回で第10回目となります。
書いた文章をあらためて読んでみるとなにやら「食」のお話がやたらと少ない(笑)
タイトル負けしております。
だからというわけでもないのですが、今回はやおら「アクアパッツア」。
好きな料理はありすぎるほどあるのですが、中でもこの「アクアパッツア」は別格に好きかもしれません。
家庭の事情で、僕は15年程前からお家の台所に立つようになったのですがそれまでは料理には縁遠く食べてばかりでした。
15年前に料理を始めた頃は、とにかくぶきっちょでまるでプラモデルでも作るかのような感じ。
なのに、作り始めてすぐになぜか「作りたい!」と思って取りかかったのが「アクアパッツア」。
確か始めて1週間後ぐらいだったと記憶しています。

僕を捉えたのはそれまでイタリアンレストランで食べていたその美味さもさることながら、
ある料理人から聞いた「本場トスカーナやシチリアでは海水とオリーブオイルと魚だけでやるんだよ。」の一言。
なんとカッコイイ!さすがに今ではオリーブやトマト。それに海水の代わり(?)にあさりを入れていますが、もともとは海水とオリーブオイルと魚だけ。
それを聞いた時にその絵が頭の中をぐるぐるぐるぐる周りはじめ、もう我が口の中はパブロフの犬状態で唾液の洪水でした。
しかし、さすがに日本のお家、しかも海辺でない我が家ではフツウのアクアパッツアしかできません。
それでも、あさりからしみ出してくる塩水とオリーブオイルが乳化したソースを見ると心は海辺にいる気分、極楽極楽。
いつも作りながら思うことは、くれぐれも作りながら飲み過ぎないこと。本当に危険です。
食卓に並ぶ前に出来上がってしまう。

この週末も行きつけの魚屋でたいそう立派な桜鯛に出会い。小躍りしながら帰宅。
これぞ桜鯛という桜色の肌が乳化したソースの海で泳ぐ姿を尻目に、まず泡を一本。
鍋ごと食卓へ。そこですかさず白をもう一本。
料理歴15年の間に何本コイツで飲んだんだろう。何度コイツを食べたんだろう。
でも、まだ一度も実はホンモノは食べていない。
ホンモノ、すなわち海水とオリーブオイルと魚だけの「アクアパッツア」を食べにイタリアへ行ける日は来るんだろうか。。。

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