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第839号『「しなければ」という雪に埋もれた』

【ルビンの杯(壺)】

朝起きて早速に、A社・B社、C課長、D部長と数
本のメールを返信しなければ、そう思いながら、
PCを起動させていると、来週のセミナー用原稿
のリライトをしなけばとの思いが、頭を過る。

すべからく、自分の信頼や価値を高める(そし
て、なにより人に嫌われない)ためにも決めら
れたことを守り、やるべきことをしっかりと遂
行する。
こうして、あれもしなければ、これもしなけれ

と、気がつけば自分の身の丈を超える「しなけ
れば」という降りしきる雪に埋もれ、息苦しさ
を感じる。

「ルビンの杯(壺)」(人の横顔に見えたり杯
に見えたりする画像)で有名なデンマークの心
理学者ルビンによれば「図」と「地」(Figure
and Ground)の「地」は背景的に知覚される
部分であり、「図」は意味を持って浮かび上が
る部分であると定義している。
ルビンは、この「図」と「地」がどんな法則で
判別されるかについて、多くの研究を行った。
その結果、もし、視界の中に何の特徴もなく、
「図」となるべき部分が見当たらなかったら、
(例えば雪に覆われた真っ白な山と、降りしき
る雪の関係)距離感は生まれず、形の知覚は一
切生じないという。
つまり、雪山(=図)を見ようとしても、降り
しきる雪(=地)で識別することができないと
いう。

別な言い方をするならば、人は「図」と「地」
の関係を認知することによってのみモノの有り
様を把握することができるのだ。

「しなければ」という雪に埋もれ息苦しい。
こんな時は、少し立ち止まり深呼吸をしてみる。
そして、よくよく眺めて見れば「しなければ」
の中に「しなくてもいい」ものも(人間関係で
の過剰な気遣いであったり、距離感であったり)
あることに気づく。

だから、あらためて自分の基準(物差し)を考
えてみた。

・「図」と「地」をはっきりさせる。
・「YES(=図)」と「NO(=地)」をはっき
りさせる。
・「すること(=図)」と「しないこと(=地)
」をはっきりさせる。

こうして、5つの「しないこと(=地)」こと
を考えてみた。

1.自分の弱みを隠さない。
2.人と自分を比べない。
3.リスペクトできない人とは付き合わない。
4.会話での沈黙を気にしない。
5.飲み方食べ方の汚い人とは付き合わない。

たった5つの「しないこと」を決めただけで、
「冬の抜けるように濃い青空を背(=地)に、
真っ白な雪山(=図)」がくっきりと見えた。