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第83号『仕掛け』

恒例になったNHK紅白歌合戦での小林幸子の衣装は、地方巡業の客寄せの道具立てとしてフル回転し、その製作費を回収しても余りある活躍をするのだという話しを聞いたことがある。
だから、歌よりも衣装や仕掛けの製作に多くの時間が割かれる。

それなりにいい歌だったような気もするが、その衣装をまとって、どんな歌を歌っていたのか思い出すことができない。

突拍子もない話である。
TVでバレーボールW杯を観て、ふと小林幸子の豪華絢爛な衣装につつまれたその姿が想い浮かんだ。

ゲームもおもしろい、選手も頑張っている、特に若手の活躍には目を見張るものがある。
しかし、どうにもスポーツを観戦している気がしない。

原因はその仕掛けにある。

イメージキャラクターにジャニーズ事務所の新人タレントを使い、番組のなかで意味もない身振りが繰り返し映し出される。
会場を埋め尽くしている女の子達は、彼らの掛け声に合わせて奇妙なくらい統一された応援をしている。
もともと彼女たちの一番の目的は、彼らを見に来ているのだから当然といえば当然である。
なにしろ、彼らのCDはセブン・イレブンで独占販売され、告知、販売などそのタイアップぶりはマーケティング戦略としてあまりに完璧である。
さらに仕掛けは続く。

男の子たちをターゲットにした「伊東美咲=勝利の女神」というキャラクターの設定。
映画「踊る大捜査線THE MOVIE2」に出演している「スリーアミーゴス」を「踊る応援団」として仕込んでいる。

フジテレビの自社協賛イベントである。
意気込みや企画の説得性を考えれば、担当者は、これでもまだ心配であろう。
なにしろ、視聴率取ってなんぼである。

しかし、煽れば煽るほど、仕掛ければ仕掛けるほどバレーボールから離れていく。
ここ数年、バレーボールの衰退には目を覆うものがある。
企業チームの解散、Vリーグというプロ化の失敗、それに伴う競技人口と競技力の低下。

「エスキモーが氷を買うとき」の著者であり、1976年、NBAバッファロー・ブレーブスの再建を手がけたジョン・スポールストラはエルビスプレスリーのそっくりショーをブレーブス対ニューヨーク・ニックスの試合に持ち込み、その仕掛けで確かに大成功した。
そして、バスケットボールのビジネスは、実はエンターテインメントビジネスでもあると指摘している。

この指摘は正しいと思う。
しかし、そのジョン・スポールストラでさえ、エルビスそっくりショーは試合の最後に設定していた。

いま日本のバレーボールの惨状を生んだ原因はどこにあるか。
それは、競技そのものとかけ離れ過ぎた、イベント屋とテレビ局の都合に終始しているからである。
その結果、実力の余りにかけ離れた大会開催と、その場限りの観客動員は選手を萎縮させ晒し者にしているだけのようにも見える。

ともあれ、バレーボールを愛するファンとその底辺拡大なくして再建なしである。

そうえいば小林幸子の歌で「おもいで酒」の後、どんな歌を歌っているのか思い出せないのは、やはりその豪華過ぎる仕掛けにも一因があるのではないか。

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