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第482号『深呼吸』

【潮風王国前の海岸線】
【潮風王国前の海岸線】

休日、妻と南房総市千倉に出かけた。
冠婚葬祭でも、観光でもない。
しいていえば、深呼吸をすることが目的。

馴染みの宿に泊まり、何をするでもなく、遠景に海、近景には花畑を望む露天風呂に入り、本を読む。
夕方には、これまた行きつけの居酒屋で、地元でとれた野菜と魚で酒を飲む。
翌朝、朝風呂に入り海を眺めながら、身体のうちになにひとつ屈まるところがないように伸び、深呼吸をする。
こうして、過ごす一日を10年近く続けている。

こんなことが、キッカケだった。
11年前の7月12日早朝、弟は46歳で亡くなった。
脳腫瘍だった。
なんでも語り合った。
仲間であり、友であり、弟だった。
人生観が変わった。

翌年、ファンサイトを起業した。
しかし、なかなか容易にはいかない。
日々のくらしも物憂く、仕事も集中できず苛立つ。
落ち着きなく戸惑っていた。
何かに、がんじがらめにされていくような危うさを感じていた。
こんな状態の時、気分転換に良いだろうと、妻が南房州への旅を計画してくれた。

3時間ほどのドライブを楽しみ、日のあるうちに宿に到着。
ネットで探し当てた宿だったが、なんとなく居心地の良さを感じた。
主の勧めるまま、早速、露天風呂に入った。

風呂から望む花畑にも、海岸線にも人の影はない。
風呂に浸かり、目を閉じ、風の音を聞く。
頬を撫でる風がひんやりとして気持ちが良い。
しばらくして、風が止む。

目を開けると、陽は燦々と海原を照らし、水平線からは雲が湧き立つように見えた。
再び、一陣の風が吹く。
花畑の青葉は、金色に緑を揺るがせた。

気が付けば、僕の心は伸びをし、首が起き、胸を真っ直ぐに開く。
そして、スーと深呼吸をしていた。

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