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第37号『パッっと』

「第1回タイ・トライアスロンカップ参加者募集!」
マガジンハウス社の雑誌「ターザン」に掲載された小さな募集記事を見て、心が疼いた。
やってみたい。

タバコ一日40本、飲食好きなだけ、夜更かしあたりまえ。
そんな生活に少しうんざりしていた。

準備期間はおよそ6ヶ月。

なにからどうすればいいのか、そもそもこの得体の知れないトライアスロンというのはなんなのだ。
本屋で探してみる。
「トライアスロン」そんな本はどこを探してもなかった。
なければ自分で組み立てればいい。
泳いで、自転車に乗って、走ることを一人でやる競技なんだからとりあえずこの3つのトレーニングをやればいいのだろう。

その日から時間を見つけてはトレーニングの方法を考えながら、走り泳いだ。
そして11月には川口湖マラソンに参加し42.195キロを4時間9分4秒で完走し、真新しいレース用の自転車も手に入れた。
1987年2月28日のレースまで残り2ヶ月。
まだ手に入れていなかったのは泳ぐことだけだった。

北国で生まれ育ち、短い夏のさなか水遊びはするがスポーツとして水泳などしたことがなかった。
だから、25メートルを息継ぎなしで潜ることはできても息継ぎをしてクロールで泳ぐことができなかった。
独学でやるのも限界だと思い、関内にあるYMCAのメンバーになり、通うことにした。
ここではコーチという人はいない。
メンバーがボランティアとして教えてくれる。
ボランティアのYさんに教わり1ヶ月がたった。
しかしうまく息継ぎが出来ない。どうしても水を飲み込んでゲホゲホしてしまう。
自転車に乗れ、走ることもなんとかなりそう、でも最初の泳ぎが出来なければレースのスタートラインに立つことは出来ない。
ある日、Yさんが言った。
「君は息を吸う事ばかり気にしている、吸う事ではなく吐くことを気にしてごらん。」と
パッと息を吐きながら泳いでみる。
何回かやっているうちにスッと息ができる。コレだと思った。

息が吸える。パッって吐けばスッって吸える。これだ!

追えば逃げる。
欲しければ与える。
そのものではなくその裏側に隠された何かが見えたとき世界がパッと変わる。
真理は裏側にひそむ。

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