第316号『お金の使い方』

【エンゼル】
【エンゼル】

世界同時不況の到来である。
多くの学者や評論家は口々に、回復するには数年あるいはそれ以上の時間がかかると予想している。

元来、モノを買うという行為そのものに、消費者は抵抗を感じている。
「こんなモノは必要ないのではないか?」「自分には分不相応に贅沢なモノではないか?」「買った後で後悔しないだろうか?」「家族に説得できるだろうか?」等々。
数え上げればきりがないほど、買えない理由を並べることができる。
不況のいま、それはことさらに消費者の心を支配している。
この、買えない理由をひとつひとつ解決し、すべての理由を取り除かない限り、購入には至らないだろう。
まして、モノが溢れる社会で、それがなければ生活が成り立たないなどというモノはそうそうない。
では、どんなモノなら購入したいと思うのだろうか。

僕は<応援したくなるモノ>ではないかと思っている。

居酒屋、焼き鳥屋、文房具屋、パン屋など、ファンサイトのアトリエがある人形町・浜町の街は小さな店が多い。
僕はこの街の小さな店で買い物をするのが好きだ。

例えば、アスクルなら一本200円で買えるボールペンを、文房具屋さんで250円で買うこともある。
例えば、おでんをスーパーのパックではなく、商店街のおでん屋さんで買う。
それは、文房具屋のおばちゃんの笑顔だったり、おでん屋さんの味に対するこだわりを応援したいからだ。

おそらく、景気が回復しても、かつてのような大衆消費社会は再現されない。
だから、作り手と買い手が互いに、助け合い居心地のよい関係=ファンを築き上げることでしか、この先は見えない。

この不況感を脱するひとつの方法として、お金の使い方を工夫してみる手がある。
お金は、欲しいモノを手に入れるために使うだけではなく、応援したい企業やお店、作り手にエールを送るためにも使えるのだから。

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