久しぶりに週末、友人と食事をした。
楽しい時間はあっと言う間に過ぎ、終電ぎりぎりの電車に乗った。
車両はほぼ満員。
しばらくして、なんだか居心地が悪い。
理由は満員ということだけでなく、なんとなく周囲から苛立ちのようなものを感じた。
理由もなく、殺傷事件に巻き込まれることが特別なことではなくなって久しい。
少し不安を感じたが何事もなく帰宅できた。
ふと思った、あの不安と苛立ちはなんだったのだろう。
米国の投資アドバイザーでもある、ウィリアム・バースタイン著「『豊かさ』の誕生」(日本経済新聞社)によれば、所得格差が限界を超えると、平均的な市民の幸福感が損なわれ、人々は社会の一員であるという気持ちを失ってしまうと、言及している。
例えば、20世紀初め、最も豊かな国の1つだったアルゼンチンの没落も、貧富の差の拡大がその原因といわれている。
幸福感の欠落と反社会的な萌芽。
格差は嫉妬を生み、不安と苛立ちを醸成する。
人が嫉妬を感じるとはどういうことか。
自分を脅かしているのは、相手に刺激された自分の感情である。
したがって、焦りや不安を払いのけるために、その原因を作った人や事柄を否定し、拒否しようとする。
その結果が、数々の理不尽な事件の要因になっているのではないか。
事件になるようなことはないまでも、嫉妬心から隣人との関係がぎくしゃくすることは稀ではない。
僕にも、誰にでも、普通に起こりうることだと思う。
ではそんな時はどうするか。
立ち止まって深呼吸をしてみる。
そして、自分に聞いてみる。
なぜ焦るの?
何が不安なの?と。
人に嫉妬する時、それは自分に足りないものや、必要なものに気がつくチャンスでもある。
嫉妬は自分を成長させるバネにすることもできるのだ。