2月16日、生前カマタスエコさんが出演したテレビ番組収録の立会いで浜町スタジオにでかけた。
思えば、この日、彼女とお会いした最後の日となった。
(カマタさんの思い出はファンサイト228号「戦友の死」に記載)
撮影を見届け、オフィスへの帰り道、通りがかりの不動産屋のガラス窓に貼られた物件情報が目に飛び込んだ。
なぜだか、この日はどうしても、その部屋をこの目で見たくなった。
不動産屋さんに案内され、部屋の扉を開けた。
扉が開いた瞬間、あっ、ここだと感じた。
僕は直感とか、霊感とかには程遠く、むしろ鈍感といわれる部類に属する人間である。
その僕が、自分でも驚くほどに閃きのようなものを感じた。
僕らの商売は商品を並べる場所がなければどうにも仕事ができない、といった商売でもないし、事務所がお金を直接に生むわけでもない。
だから、華美なオフィスも車も、自分の身の丈に合っていないものは持たないようにしていた。
しかし、ここ数ヶ月、事情が変わった。
ファンサイトのメンバーも数名、新しく加わり、お互いに顔つき合わせて議論する時間も増え、神田オフィスでは手狭になった。
新たな空間を借りるべきか否かと数日、思案していた。
そんな時に、カマタさんの突然の訃報を知った。
カマタさんの撮影立会いの帰りに見つけたということもあり、なんだか彼女に申し訳ない気持ちになった。
やっぱり借りるのは時期尚早、止めようかと思った。
彼女の死と、事務所を借りるか否かを結びつけるのは滑稽ではある。
しかし、仲間の死はそれほどに堪えた。
でも、だから、改めて考えてみれば、彼女の死は借りることを止めろというシグナルではなく、私の分まで頑張って、と言ってくれているのではないか。
よし、この街に議論をし、ものづくりをするために集まる場を作ろうと決めた。
次のファンサイトのカタチを創る場。
だから、ここを「浜町アトリエ」と命名した。
追伸
浜町、人形町から水天宮にかけての界隈は、ここ数年開発も進み、下町の情緒とIBMやカゴメなどが点在するオフィスとが、ほどよく混ざり合った顔立ちの街です。
この浜町にファンサイトのアトリエを構えました。
近くにお出かけの節は是非お立ち寄りください。