2002年10月29日
車は軽快に高速道路をダウンタウンへ向かって走る。
スピーカーからはクルセーダーズの「ストリート・ライフ」が流れている。
10月の夕暮れ、ロス・アンゼルスでも少し肌寒い。
街の明かりが夕暮れとともに瞬く。
暫く、高速を走ると遠くに青紫色に輝く光が見えてくる。
ライトアップされたその場所こそ、NBA開幕戦、ロスアンゼルス・レーカーズVSサクラメント・キングスが行われるバスケットボールの聖地、ステープルセンターである。
席に着くと同時に両軍の選手が現れる。
デカイ。
2メートルを越える大男たちが、想像を絶するスピードで走り回り、ジャンプし、シュートを次々に決める。
スゴイ。
たとえれば、大相撲の力士やK-1の選手たちがコートで激しく動き、ぶつかる様を想像してみればいい。
オモシロイ。
プロバスケットボールの世界最高峰。
これが僕のNBA初体験である。
2003年9月26日
ベースボール、アメリカンフットボール、アイスホッケー、そしてバスケットボールなどアメリカンスポーツの情報サイト、AMESPO.COMの取材で再びロス・アンゼルスへ。
そして、ロス・アンゼルスから車で40分ほどの場所にあるロングビーチにプロバスケットボール独立リーグABA(American Basketball Association)の1つ、ロングビーチ・ジャムのオフィスを訪ねた。
目的は2つ。
1つ目は、当時デンバー・ナゲッツでキャンプをしていた田臥勇太がNBAには行けず、ロングビーチ・ジャムに入団する可能性がありそうだとの噂があるが、この噂の確認。
2つ目はロングビーチ・ジャムのオーナー陣に、どうやら新潟アルビレックが入っているらしいがなぜわざわざアメリカの独立リーグに投資しているのか、その核心が知りたい。
収穫はあった。
私たちの取材からほぼ1ヵ月後の10月27日、NBAを目指していた田臥はデンバー・ナゲッツから解雇され、そしてロングビーチ・ジャムに入団した。
その事前取材がとれた。
さらに、この時、応対していただいたロングビーチ・ジャムの代表、島村氏がその場から新潟のオフィスに連絡を入れてくれた。
運良く新潟アルビレックの会長、河内会長に連絡が取れ、お会いするチャンスができた。
2003年10月
新潟アルビレックス会長・河内敏光氏にお会いした。
1954年東京都生まれ、今年50歳。
高校はバスケットボールの名門、京北高校。
明治大学から三井生命へ。
この間、日本代表選手としはもちろん、監督しても福岡で開催されたユニバーシアード大会でアメリカと決勝戦を戦った名将でもある。
しかし、1997年、三井生命バスケットボール監督の時、部が休部そして廃部へ。
監督として、選手一人一人の行き先を決めたのち退社。
丁度そのころ、三井生命と同じように休部となった大和證券チームの譲渡の話しがサッカー・アルビレックス新潟の社長、池田弘氏のところに来ていた。
池田氏が提唱する総合型地域スポーツクラブ構想のなかでバスケットボールも重なった。
そして、1999年10月からわずか7ヶ月でチームを立ち上げ、2000年の日本シリーズに参戦。
現在、日本の実業団バスケットボールの最高峰、スーパーリーグに唯一のプロチームとして参戦している。
バスケットしか知らない馬鹿者と自ら言い、東京から新潟に、よそ者として自分の足場を置いての活動は容易なことではなかっただろう。
それでも、ここまで必死に駆り立ててきたものは何か、と問うた。
1999年福岡で行われたシドニー五輪予選で日本は敗退。
河内氏は当時、テレビ解説の担当として会場でその光景を目の当たりにした。
韓国、中国、台湾、フィリピンなど他の国々は国内プロリーグで常に切磋琢磨し力をつけているのに、日本だけがプロリーグもなく、取り残され、他国に追いつけないばかりか、その背中がどんどん遠くなるように感じた。と。
休廃部の経験から企業スポーツの限界を知り、さらにアジア諸国との広がるばかりの差。
この想いが日本初のプロバスケットボールチーム、新潟アルビレックスを誕生させた。
そして、その時、河内氏からもう1つの大きな構想を伺った。
「日本にプロバスケットボールのリーグを作る。」
しかも、地域密着型で日本全国にチームを作りたい。と。
2004年11月
あれから、1年。
来年11月の開幕を目指し、当初、全国6箇所6チーム。
ホーム&アウェイ方式で戦う日本初のプロバスケットボールリーグが遂に今月、誕生する。
去年、新潟のオフィスで帰り際、私たちに河内氏が言った言葉が耳に残る。
「いつの時代も、何か事を起こし、作っていくのは馬鹿者とよそ者だよ。」
◆◆◆お知らせ1◆◆◆
この度、上記のプロバスケットボールリーグ、6チームのなかの1チームの受け皿会社を登記し、参加することになりました。
チーム名、所在地など、詳細はまたこのファンサイト通信でお伝えします。
ご期待ください。
◆◆◆お知らせ2◆◆◆
来週、再来週と2週連続でファンサイト通信はお休みします。
次回、ファンサイト通信129号は11月26日金曜日配信予定です。