さまざまな憶測を呼んでいたAppleのスペシャルイベントが今週の9月1日(日本時間では2日の早朝)に開催されました。ふたを開けてみると、ほぼ憶測どおりの発表内容で、個人的には新味にとぼしかったという印象でした。
発表の中にiTunes 10で追加されるソーシャルネットワーク機能というのがあります。音楽情報を中心にしたソーシャルネットワーク機能で、フォローしたアーティストの情報を取得したり、お気に入りの曲や写真、動画、コンサート情報をチェックしたり、コメントを投稿したりできる。また、アーティストだけでなく、ユーザーも自分のプロフィールを作成できるので、友だちをフォローして、聴いている曲やダウンロードした曲、フォローしている友だちの間でトップチャートなどの情報が共有できるようになるそうです。つまり、iPhoneやiPodの母艦であるiTunesをプラットフォームにしたソーシャルネットワークができるということです。
ソーシャルネットワークのビジネス利用への期待は高まるばかりですが、決定打となるようなアプローチやサービスはまだありません。
ソーシャルネットワーク上の資産を見える化するソーシャルグラフなど、サービスを横断的に活用するアプローチやアイデアの中から有効なものが出てくれば良いのに、と個人的には思っていますが、実際に繰り広げられているのは、サービス提供者(SNS)の間でのユーザーの囲い込みのようです。
ソーシャルネットワークなサービスや機能が乱立気味ではないかと感じる今日この頃。社会学で言う「ダンパー数」とか「150人の法則」はコミュニティの構成員数の限界を示していますが、1ユーザーが参加できるコミュニティの数にも限界があるのではないかと思います。数か所であっても、複数のSNSに出入りしてそれなりにコミュニケーションをするとなると、それは大したことですから。あれこれ乱立しても、あれこれ使おうという気にはならないのが現実でしょう。
囲い込み合戦の中で、ひとりのユーザーとして享受しているソーシャルネットワークの魅力が薄れてしまうとしたら、それは残念なことです。また、サービス提供者の皆さんには、囲い込みというレガシーな戦術ではなく、ソーシャルネットワークを進化させるアイデアを持ち込んで戦ってほしいなあと思う今日この頃です。