いつも通り、5時を少し過ぎたところで目が覚めた。起きてから仕事に取り掛かるまでの行動は、ほぼ決まっている。トイレに行き、口を濯ぎ、髭を剃り、顔を洗う。鏡に向かって自分の顔を眺め、目や鼻や肌の具合を確かめる。”今日もなんとか行けそうか?”と自問しながら、小さく「よし」と声に出して言ってみる。
それから、台所に立ってお湯を沸かしお茶を淹れる。仕事机の背にある障子を開け今日の天気をみながら、お茶を啜る。こうして、窓外の空に浮かんだ雲の流れや、風にそよぐ木々や、その梢に止まった鳥たちの様子しばらく眺める。そして、着替えてから掃除をする。いつものようにいつもの手順で掃除機をかけていたら、本箱の隙間に光るものが見えた。隙間に手を入れ触ると、細くヒヤリとした手触りだ。なんと、数ヶ月前に無くしたボールペンだ。なぜ、こんなところにあるのかと思ったが、ともかく見つかったことが嬉しかった。
今日、第1100号のファンサイト通信を書いている。振り返ってみると、1000号『「宣言」するということ。』を書いたのが、2023年6月15日だった。あれから100回書き重ね、2年と3ヶ月の時間が過ぎたことになる。ほぼ変わらない日々の中で感じたことや、行動したことを書きながら考えてきた。
変わらない日々と、時折起こる小さな変化や発見。そうしたことの中で、思い描いたことを書く。
改めて思う。日々触れる様々な出来事やニュース、読んだ本や映像といったものの大半は、自分の中で一過性のものとして消えてしまう。それでも時々、心の襞に引っかかっり澱のように残るものがある。やがてその澱の濁りが沈殿し、鎮まった後にもう一度、心の水底を見てみる。そして、そうした“引っかかって残ったもの”や“沈殿したもの”を「ファンサイト通信」に書く。
半径数十メートルで生まれた小さなさざなみが、すぐには変わらなくても、その後うねりとなって世界を変えるかもしれない。「ファン」と「企業」との新たな関係づくりもその一つであると信じている。その結果、小さな事象かもしれないが社会が良き方向に変化するかもしれない。自分自身の変化や成長と重ね合わせるように、これからもこうした想いで、もう少し「ファンサイト通信」を書き続けたい。