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第193回『高齢者マーケティングへのアプローチ』

▼戦力外から戦力へ?

 いま期待されているのが高年齢者層が持っているとされているお金。折からの不況もあって、国も企業も含め世間様は、金持ち層からお金を巻き上げる算段に明け暮れています。こうした層の賞味期限は2025年までとされ、あの手この手のマーケティング戦略が急ぎ検討されているようです。
 かく言う私も猫の頭よりはましだと言うことでしょうか?時折、企画会議なるものに呼び出され惚けた頭に刺激を与える機会を与えられております。
 マーケティングと言うとついこの前までは若者の専売特許で、40歳を越えた老トルのマーケターは戦力外でした。いまはさらにこの傾向は強まっています。もちろん、その背景にはIT技術があるようです。
 とりわけ日本企業は、若者信仰、ニューテクノロジー信仰が強いようで、若者は進んでいる、老人は遅れているという幻想が支配的です。実際は異なるのですが、現実を直視するのが苦手の国民性。高齢のマーケターは「お呼びでない」のが世間様です。
 しかし、若者市場が縮小し、いまや高齢者の懐が頼みの綱となる局面もあり、と言うことで、多少状況が違ってきており、いままでは「啓して無視していた」老人の意見も多少参考にしようとする傾向が生まれつつあります。
ありがたいような、情けないような気も致します。

▼マズローの欲求5段階が無効に?

 高齢者をターゲットとする際に、何歳から高齢者とするか?は意見が分かれるところです。
 しかし、それはそれとして絶対に押さえておかねばならないのは高齢者のライフサイクルの転換です。それは「昨日は今日よりも悪く、未来は今日よりもよい」と言う直線的なそれから、共時的な円環的なライフサイクルへと変わり、それに併せて欲求も変化していくからです。
 人により「未来」へのスパンは異なります。ご記憶の方もあると思いますが、昔、70年EXPOの頃だったと記憶しますが、・・・「未来学」と言う学問?領域が提唱されたことがありました。
人間だけが「未来」を描けると言うのがこの学問のコンセプトでした。そして人間の価値は、どれくらいのスパンで未来を考えられるか?で決まると言う考え方。まさに若者志向の直線的な進歩を称える学問でした。
 あなたはマズローの欲求5段階はご存じですね?
簡単に言えばアブラハム・マズロー(1908年~1970年 アメリカの心理学者)が唱えた説。彼によれば,人間の欲求は,5段階のピラミッドのようになっていて,底辺から始まって,1段階目の欲求が満たされると,1段階上の欲求を志すというものです。その段階とは,生理的欲求,安全の欲求,親和の欲求,自我の欲求,自己実現の欲求です。これがどの程度、現実の生活と整合性があるかは、別として今日までのマーケティングをリードしてきたコンセプトのひとつであることには間違いありません。
 しかし、これを円環のライフステージとの関わりで考えるとこの段階は全く違ってきます。

▼円環のライフステージでの欲求とは?

 突然ですが「黄泉がえり」と言う伝承はご存じですか?お遍路の88札所で知られた四国のお話ですが、この遍路の旅順を逆に回ると過去に戻れるという言い伝えです。
真偽のほどはわかりませんが・・・。
しかし、我が身と照らしてみるとまさにこれからの欲求は自我や自己実現から離れて生理的欲求、安全への欲求へと回帰していくように思えます。
 またさる文学者の晩年は「死者との対話が深い楽しみともなっていた」大江健三郎は、(エッセイ「死者と共に生きる」)述べています。
 直線的なマーケティングにはモデルは求めやすかったと思いますが、円環型のそれではモデルは無限で的が絞り込めず漠としています。また直線的なモデルは可視化できましたが、円環型では深層的です。触れて見て初めて判る価値観でもあります。
また、その価値に共感を得ていくには、価値提唱者側の深みのある人生観も必要でしょう。
 ここに高年齢者へのマーケティングの難しさがある気がします。

▼自己超越というコンセプト

 晩年、マズローは、5段階の欲求階層の上に、さらにもう一つの段階があると発表したそうです。それが、「自己超越」(self-transcendence)の段階。
自己超越者(transcenders)の特徴は
1.「在ること」(Being)の世界について、よく知っている
2.「在ること」(Being)のレベルにおいて生きている
3.統合された意識を持つ
4.落ち着いていて、瞑想的な認知をする
5.深い洞察を得た経験が、今までにある
6.他者の不幸に罪悪感を抱く
7.創造的である
8.謙虚である
9.聡明である
10.多視点的な思考ができる
1.外見は普通である(very normal on the outside)だそうです。
これはウイキペディアからの引用です。まさに円環の時間を生きる達人になるための目安かもしれません。
しかし、マズローによると、このレベルに達している人は人口の2%ほどに過ぎないそうです。

▼話題のQOL(高齢者の生活の質向上)について

 最近QOLなる言葉が医療やケアなどの領域では氾濫しています。しかし、このQOLは消費経済と都合良く結びつくコンセプトでしょうか?
またモノの充足がQOLを約束するものでしょうか?
QOL自体も不明確です。おそらくこの評価は個人の価値観に属するものでしょう。
 いずれにせよ、このQOL実現を目指すには、まず直線型思考から脱し、円環の時間とその世界について知る必要がありましょう。 マーケターはこの円環の時間と暮らしをどう描けるでしょうか?
 私も齢70を越える高年齢者のグループに属しています。
まさに「円環を生きる」自分が試されている・・・です。

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