▼Give me Chocolate!
いまから60年前、私はチョコレート頂戴!といってGIさんに物乞いしました。
親切なアメリカさんは、パンパンのお姉さんと笑いながら、チョコを投げてくれました。きっとハシーの板チョコだったのでしょう。美味しかった・・・。
そんな屈辱的な昔を夢に見ました。時は3月、この桜咲く時節は、東京大空襲の月。
悪夢の月だったようで、死者たちの無念が春眠に悪夢を呼んだのでしょうか?
こんな想いはしたくない・・。でもそれから約60年、いま2030年頃を予測すると、私たちのひ孫たちが今度は中国はじめアジアの人たちに物乞いしているかも知れません。希望のない世代の生む子どもたちの行く末・・・。
その頃にはとうに私は灰になり、それもどこかに消えて仕舞っているでしょうから、後のことは知ったことではありませんが・・・。
▼かつての成功体験から抜け出せないでいる?!
先日、2030年にフォーカスしたセミナーの経過発表の聴講に出かけました。それは超高齢化社会へのロードマップづくりを目的にして活動しようと企業20社が参集して組織したコンソーシアムの活動報告会でした。およそ4時間、パワーポイントを使っての説明でした。
で・・・?ちょっとがっかり!が正直なところです。
一番の問題は、いまも日本および企業が力を持っているという技術一流、日本人は優秀と言う幻想、それが根強くあることです。
いま流れはアジアに移っていますが、その主役はシンディと言われる中国、インドでしょう。日本は、いまやアメリカからも見捨てられています。かの小泉首相のパフォーマンス・・・イラク派遣や自身のそれも含めて・・・は、日本の凋落の裏返しあったことは今にしてわかります。この現実にどのように取り組むか?
それには政治や官へのおもねりではなく、企業としての主体性が必要です。
▼顧客からの発想が大切?
経済だけをひたすら追いかけて、経済大国になった日本は、文化、教育、人づくりなど経済以外のものはみな捨てて来たのが今日までの歩みと言っても言い過ぎではないでしょう。WAY of Americaは、市場市場主義です。消費力のなくなった国には、三行半が当然でしょう。金の切れ目が縁の切れ目です。
最近、NHKで日米同盟の討論会が放映されました。そこで透けて見えるのが、日本の自信のなさです。
経済で活きてきたのですから、まずはやるべきことは再び金を持つことで自信を回復することでしょう?とりわけ営利を目的とする企業ではそれは当然のことです。
しかし、それにはどうするか?
我田引水ですが、マーケティング力がキーポイントではないか?と思います。
いくら優れた技術でも、市場とすれ違ったら意味はありません。
愛知万博の折、中央アジア諸国を訪問する機会を与えられました。それは貴重な経験であったことは言うまでもありません。がその折、私は気になっていたことですが、日本の存在感の薄さでした。
そして昨年、5年ぶりに中央アジア諸国のひとつであるウズベキスタンを訪問した際、さらに日本の影は薄く、中国、韓国、ベトナムなどが存在感を増していました。
いまでもそうですが、アジアには問題は山積しています。日本がやれることはたくさんあります。では、なぜ日本が見えないのか?
理由は、市場と向き合っていないからです。顧客の悩みに答える姿勢がないことです。
▼高品質×低価格の追求
今回のコンソーシアムもそうですが、高齢社会対策への対応にしてもいずれもが富裕層狙いです。しかし、「何時までもあると思うな、親とカネ」です。
そして明日に目を向けるとに確実に貧乏人は増えていきます。
一方、アジアに目を移すと富裕層は、期待できそうな市場規模ですが、その市場を日本が獲れるか?と言うと競争も激しく、絶対的な優位ではありませんし、それを得るのは容易ではありません。
本当に企業利益を考えるなら世界の90%以上を占める膨大な貧困と言われる層への参入です。
こうした人々は消費をしないのか?そんなことはありません。そして当たり前のことですが?それぞれの事情で個別の消費ニーズを持っています。
最近、GEは「リバースマーケティング」で収益を向上させて注目を浴びています。これは医療機器の領域ですが、無駄な機能を極度に切り捨て、操作しやすく、コンパクトで持ち運びやすい機器にして、低価で市場に紹介し、ビッグビジネスにした先行事例です。そしてこの商品は、アメリカに再流入されて、高い医療コストに悩む現在の医療機関に採用され、新たな市場を形成しつつあるようです。コンセプトは高品質×低価格とか!
こう考えるととりわけ「過剰品質」と「市場の狭さ」で価格の壁に直面しがちな日本のものづくりには、貧困層は「尽きることない宝の山」かもしれません。
品質も価格も、市場が決めるもの、未来をつくる企業は、顧客志向に徹すべきではないでしょうか?それは「貧困」への積極的なアプローチを意味し、世界を救い、ひいては日本を助けることになるはずです。
今回のセミナー、余りに企業発想が強い、それが将来への心配の種、です。