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第177回『企業が実需をつかめないわけ?』

▼「100年に一度の未曾有の危機」!?

 経済全体の大きな視野から見れば、「100年に一度の未曾有の危機」であることはその通りかもしれません。しかし、もう少し目線を下げて回りを見渡すと、本当にそうなのか?疑問に思えます。
 例えばJALの倒産、コンビニの不調、西武有楽町の閉店に見られる百貨店の売り上げ低迷など不況の表れとして言われていますが、こうした企業や業態の不調は不況に伴う消費の縮小が原因でしょうか?
 身の回りのことで恐縮ですが、私の住まいのそばに生協があります。そこも確かに元気がありません。しかし、それは旧来のお客であった私たちが、財布の紐を締めているからではなく、私たちの求めるモノが無いからです。主婦の声では、「まずい、高い、欲しいモノがない。でも近くに店がないから仕様がなく行く」店が生協です。
コンビニも同様です。近くに大手のCVSが軒を接して出ていますが、すべて生協に同じ。誰が行くの?です。

▼消費者のニーズとのミスマッチ

 一方、客を集めているのが、積極的にお客の声に反応している小規模な路面店です。
また中規模のこだわりのある専門店やスーパーです。
そこでの商品は必ずしも安いわけではありませんが、「安心」だからです。「安心」にはいろいろ意味があります。
 高齢化や少子化、さらにはゴミ問題と暮らしは変わってきています。
そうしたことを背景に、人々は「安い買い物」は避け、「安心」を求めています。
安く買っても不味ければ残す。沢山買っても食べきれない、廃棄すればゴミが増えるなど、結局は高価な買い物となってしまい本当の「暮らしの安心」には結び使かないからです。
このように食卓、衣料、住宅などで求めるモノが変わっているにもかかわらず店側では生活者の欲しい「安心」にはまったくの無頓着。せっかくの実需をつかみ損なっているのが「売れない」原因の大きな理由です。

▼H&M、イケア企業の強さの秘密は・・・?

 いま勝ち組企業としてユニクロを上げるのが常道ですが、しかし1店舗あたりの売り上げは「ユニクロ」、「しまむら」を倍以上上回る企業が日本にも存在しています。それはH&MやIKEAです。雑誌からの情報ですが、H&Mは09年度2店舗で約90億円の売り上げ。現在計5店舗で約90億円から100億円の売り上げになると予想されていますし、IKEAの方は、日本法人の売り上げは5店舗で約500億円を上回る見込みだそうです。いずれもファッション性と手頃な値段を武器に日本の消費者を掴みつつあります。 そしてこの二つの企業は、構造不況と言われて長いファッション業態と家具業態での業績であることも見逃せません。実需がないのではなく、それをいままでの企業が掘り起こせなかったのではないか?とも考えたくなります。
 この2つの企業の強みはなにか?ですが、一般的には両者に共通する点は徹底的なローコスト物流戦略とIT駆使による「市場に合わせた最大公約数的なオペレーション」とされています。そしてH&MはSPAでありながらファブレス(自社工場を持たないこと)で世界約20国にある協力工場約800社を利用してのローコスト経営。またIKEAも同様で世界50国に1250の協力工場を持つて商品の供給を効率的に行なっていることが理由です。

▼お客の声に耳傾ける経営

 しかし、私的に注目するのはファッションやデザインとお客の嗜好の変化やニーズを把握するソフトでの技術です。
 かつて国際羊毛事務局から仕事を頂いているときに、手編み市場についての勉強で北欧のオスロ、ベルゲンに出向いたことがありました。厳寒の季節であったため、人々は防寒服に身を包んでいましたが、その下はセーターというのが通り相場でした。北欧のセーターと言えばノルディックセーター。絵柄は雪の模様やトナカイなど、また基本の色は赤・紺、白の組み合わせです。こうした定番ファッションに流行はあるのか?と素朴に思っていましたが、実際は各ノルディックセーターのメーカーはデザイナーを生活現場に派遣し毎年ファッション変化と嗜好を調査して流行を提案しているのでした。

▼誰が何を聞くのか?が勝負

 H&MにしろIKEAにしろデザイナーの役割が矢張りキー。そして彼らが本部スタッフとして商品企画からデザイン、各国にある生産工場への振り分け、物流の手配などを一手に担う仕組みだそうです。そしてこの仕組みを支えるのがH&Mでは店頭情報と世界中の都市にデザイナーを送り込んで行なう、「インスピレーショントリップ」というデザイナーによるタウンウォッチング。またIKEAでは個別の消費者宅訪問調査です。
まさにかつて私が側聞した北欧のマーケティングの愚直な実践です。
 もちろんお客の声を聞くことは、どこでもやっていることだとは思いますが、しかしこの声の真実を聞くことは思う以上に困難です。
 とくに多くの企業は「量」をベースとした思考には慣れていますが、今のように変化の時代には反対に「小さく考える」ことに慣れる必要があるようです。
この2つの企業の成果のいずれもが表面的には量に結びついていますが、しかし実際は「個」と言う「小さい」声に耳傾けた結果でしょう。
 いずれにしろ%テージや歩留まりでしかデータを信用できないのでは、これからの時代生きていくことは難しそうです。個人や個客の思い込みやこだわりを聞ける仕組み作りこそマネジメントは重視すべきです。
 それには先ず、ヒエラルヒー発想や組織ベースの「思考革新」が前提ですが・・・。

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