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第175回『安易な値引きは命取り』

▼値引きの危険な罠

 厳しい経済状況の局面では、たいていの企業が製品やサービスの値引きに走ります。こうした風潮をさらに加速させるのがTV中心としたマスコミです。
ボーナスは期待できなかった!暮れに向かって出費は嵩むなどで、消費者の財布の紐は堅くなりますから、これまで通り買ってもらうのは値引きしかない。特に販売の責任を担う営業サイドでは一円でも競合相手を凌ぐ低価格打ち出しの要求が強いことでしょう。
しかし値引きには危険が伴います。
 大きくは値引き→コスト抑制→経費の削減→人件費のカット→消費者の購買力の低下→さらなる市場の冷え込みと、いわゆるデフレスパイラルが上げられますが、そこまでのマクロな視点は置くとしても、マーケティングでは企業と消費者の繋がりに強く影響を与えます。
 この不況が、短期で終わるのが確実で在れば、値引きにより消費者の関心を引きつけて、購買意欲を喚起して、収益は多少犠牲にしても売り上げを高め帳尻を合わせることも考えられる不況期でのマーケティングでしょう。

▼不況は長く続くと考えたい!

 しかし100年に一度と言われる今回の不況は、ある意味では従来のマーケティングのあり方やビジネスモデルを変化させてきていますし、それに変わるビジネスモデルが創られて芽吹くまでには時間がかかりそうです。
あるエコノミストは不況が終わるのに後2年くらい、そしてこの長期の不況の後遺症が4、5年は続くと予想しています。
こうしたロングスパンで大手はむろん零細の事業者はどれだけ持ち応えることができるでしょうか?

▼売っているのは商品やサービスだけではない!

 いまさら申し上げることではないのですが、消費者の購買を促進するのは、知覚価値が重要な購買要因になっていることは、夙に知られていることです。例えば「心理的な財布」の考えは好例です。
「価格の心理学」では、たいていの場合消費者は多く払うほど、買った製品やサービスの価値を高いものと見る傾向があるといわれます。
したがってむやみに価格を下げると消費者はその価値を疑い始めるおそれがあります。
もはや死語かもしれませんが、かつては「安かろう、悪かろう」が賢い消費者の常識でした。

▼覆水は盆に帰らず

 私の数少ない経験では、20年前不況の折り、さる外食企業のマーケティングに携わっていましたが、当然、他社の動きに引き連られて値引き、さらにサービスコストの削減などが検討の遡上に上がりケンケンガクガクの論争が続きました。
 当時トップブランドを誇っていた同社の親会社は価格破壊に踏み切り話題となっておりました。
それ故に「値引き」圧力は半端ではなかったようです。しかし、同社がとったのは新サービスの開発でした。いまでこそめずらしくありませんが有機野菜の提供で同社への関心を別の方向に導いたのした。
結果は大成功。収益も高めたことはむろんですが、それ以上に同社のブランドポジションが一気に高まりました。
以降20年、親会社のブランドは低迷を続け、今年そのブランドの廃嫡が決まり、市場から消えて行きました。経営の盛衰はブランドだけが理由ではないと思いますが、一度落ちた消費者の知覚は、再び元に戻すのは難しい。まさに「覆水盆に帰らず」と実感しています。

▼まずは事業仕訳け

 今年の流行語に事業仕訳がノミネートされたそうですが、事業仕分け人の鋭い舌鋒には感心させられました。が、一方、官僚をはじめとする諸事業者の方々プレゼンの下手さです。
でもこれって多くのビジネス事業者にも当てはまることではないでしょうか?
企業やミッションはなにか?誰を対象にして、どのような市場を目指して、そのための差別をどのように創っているのか、さらにはそれがどれだけ価値を生みだすのか?などなどマーケティングの基本についてどれくらいの事業者が明快に説明できるでしょうか?
慣行や成り行きに乗っ取った感情的な説明ではもはや通用しない時代です。
不況は既得の成功や体験を吹き飛ばしてしまいます。
がんばってもどうしようもない今、焦らずしかし迅速にやるべきこと、やってはいけないことの事業仕訳をして持続的な成長に取り組んでいきたいものです。

年初より景気の見通しはよくありません。
しかし、事業の成績の悪さを政治や社会など人の所為にすれば、これはらくですよね。

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