▼不況が無能の言い訳になる!
不況ですね。そしてこの言葉は護符のように無能、怠慢、思考停止などの理由となっているのでは?といったら言い過ぎでしょうか?
いずれにしろ不況と聞くと人は動きが鈍くなったり、世の中のせいにして何もしないか、おなじみのやり方にこだわったりして前に進もうとしない、身を縮めて不況風が吹き去るのをひたすら待つなど、こうした傾向は不況下にあっては洋の東西に関わらないようです。 しかし、不況が去った後にすべてが元のようにうまくいく保証はありません。むしろ不況によって元々上手くいっていなかったことが表面化したと考えるべきで、不幸にも病気であることが自覚されたのと同じではないかとも思います。
もちろんこの冬のボーナスの支給額が激減する見通しのなかで財布の紐は堅くなるのは当然ですが、しかし今後の景況が財布の紐を緩ませるほどの好況になるとお考えでしょうか?
そもそも可処分所得が多いことと市場の活性化は相関していると考えるのは成熟した経済では大きな勘違いです。
▼どんなお金持ちも要らないものは買わない
私は分不相応にお金持ち地区とと言われる都内の一隅に住まいしています。
そして何時でもそうですが、お金持ちを想定した店がいくつもオープンし潰れています。
なぜか、答えは単純です。
お金持ちはお金が余っており、要らないものでも買ってくれるのではないか?一般の平均的なお客より高いモノを黙って買ってくれるのではないか?という思いこみで店出店を計画するからです。さらに出店するにもお金持ちが居るということで家賃は高めですし、店づくり費用も底上げになり、当然その費用の回収を考えると設定する価格も高めへシフトしがちです。
要は思いこみと期待だけでの無理した出店で長く続くには難しい条件を自ら創ってしまうからです。
こんな自明なことがなぜ判らないのか、不思議ですが、この不思議が飽きもせず繰り返されています。
▼なぜ情報を集めないのか?
ビジネスの業種、規模がどうあれ、計画を立案するのに欠かせないのは情報です。
あえてマーケティングとは申しませんが、
・自分が顧客としたい顧客がとれ位の量居るのか?
・同業または類似の業種事業者の売り上げがどれくらいか?
・それはなによって創られているのか?
・想定する地区での顕在、潜在キャパシティはどれくらいで、自力でどれくらい獲得できるの か?
・それのタイムスケジュールはどうのように見込まれるのか?
などなどの情報です。
こうしたことが判明した上で、どこがライバルか、なにが不足しているか、販促には何が有効か?広告とそのメッセージは何にしたらいいのかが明らかになり、戦略が立てられる筈です。
しかし、寡聞にしてこうした当たり前を実践してスタートを切る事業者にお会いしたことはありません。要は何も判っていないでビジネスを始めるのが通例です。
▼自分のこれまでのやり方はこれから通用するか?
こうした乱暴のビジネスの取り組みの背景は経営者自身の経験への過信があるからです。
そしてこうした人々の経験は、「いい時代」に形成されたものであることも要注意です。
いい時代とは何か?それは市場が在って、その在る市場のパイを獲得すれば事足りた時代で、それなりに創意工夫はあるものの「仕組み」や「組織」で売り上げを創ることが出来た時代のことです。
最近、デパートや大型量販店の不振が話題となっています。こうした対策に店の移動やリニューアルが目立っていますが、果たして成功するか?
悪いけれど無駄なあがきだと私は思っています。それは売場効率という旧来の得手勝手な考えを切り捨てて、売場づくり、再生に取り組んでいるとは思えないからです。
人気デパートでもいまその集客には陰りがでているのは肌身で感じますが、それは不況も一因でしょうが、そうした経済要因よりもむしろデパートサイドの考え方が主たる原因ではないでしょうか?例えば富裕層を掴んで一発逆転を狙う、有名ブランドの価格破壊に頼った、自分では腹が痛まない賑わいづくりなどご都合主義が見え隠れするからです。
▼不況はいままでのやり方を変えるチャンス
平日の午後、店に出向いてみてください。お総菜売場はまだしもその他の売場は閑古鳥、まさに寒々しい光景です。それに反して街には人が溢れています。
彼らは貧民でも難民でもありません。
ただ今買う意味を見いだせなかったり、買う気を感じなかったりしている人々です。
こうした人々をどこが顧客としてつかむのでしょうか?
こうした人々と売場とのミスマッチはどうして起きているのか?
つまりは「面白くない売場にはいかない」、ただそれだけのことではないでしょうか?
▼一に集客、二に集客・・・!
これはデパート、量販店など流通サービスに限りません。製造でも、TVなどマスコミでも同じです。
不況だから金を掛けない、人を削る、冒険をしない、批判されることを恐れる、上司やトップの判断に逆らわない、結果しか見ないなど、近視眼的なマイナス思考,指向のスパイラル、これでは世の中、面白くなる筈はありません。
ビジネスの第一は「集客」。人を集めてこそ次なる手も打てるわけです。
それには人がやらないことをやる、業界の常識を破るなど、世間が耳目をそばだてる動きが必要です。
今年はユニクロやマクドナルドの一人勝ち、ちょっと皆様、怠慢ではありませんか?
迫り来る来年は寅年、寅は、草木が萌え出でる意味とか。験を担ぐわけではありませんが、春を期待して「動く」。まずは行き詰まり打開の処方です。