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第954号『僕の読書スタイル』

朝の小一時間、トイレで本を読む。
そもそも本を読むことは得意ではなく、かつ遅読。
ビジネス関連の雑誌類には目を通すものの、日々の仕事や雑務に追われて、なかなか純粋に本を読むところまでは至らない。
しかし、読んでみたいと思っている本は数多くある。
気になる本をアマゾンでポチッとしたり、書店でタイトル買いをする。
買い求めたのはいいが、ろくに読みもせず、書斎の本箱に収まりきれずに仕事机の周辺に積んで置くことになる。

さて、どうしたものかと思案してみた。
仕事と切り分け、純粋に本を読むためだけの時間と空間を作ることはできないか。
しかして、その最適な時間と空間が存在する場所はトイレだと思い至った。
まずは、トイレの壁に取り付けられた棚(トイレットペーパー置き場)に一冊づつ持ち込み読むことにした。

小さなルールも決めた。
・持ち込む本は一冊だけ。
・持ち込んだ本がどんなにつまらなく感じても、最後まで読む。
・読み始めと読み終わりの日付を記入する。

昨年末から始めたこの読書のスタイルも、気がつけば10冊読了。
順にならべてみる。

・『罪と罰』
ドフトエフスキー著 新潮文庫
2021.12/30~2022.2/2

ワンコメ:正直なところ、登場人物たちの名前が複雑に絡み合い筋書きを追っかけるので、精一杯だった。
それから、このストーリー展開がなんだか刑事もののドラマのようだなと思っていたら、犯人が最初から読者にはわかっていて追いつめられてゆくという『刑事コロンボ』の元になっていると解説にあり、やはりそうだったのかと得心した。
ともあれ、ロシア文学の金字塔ともいわれる大作を読み切った。

・『日本はなぜ敗れるのか』
山本七平著 角川ONEテーマ21
2022.2/3~2022.2/10

ワンコメ:物事の本質、道理とは何かを理解する上で最もわかり易く的確に表してくれた名著だと感じた。
自戒を込めて、時折読み返すべき書籍でもある。

・『エスキモーに氷を売る』
ジョン・スポールストラ著 きこ書房
2022.2/11~2022.2/22

ワンコメ:もはやマーケティングの古典の一冊。
そして、この古典からも学ぶべきことが山のようにあった。
つまり、マーケティングとは売ることではなく、売るための仕掛けのことだということがよく理解できた。

・『しきりの文化論』
柏木博著 講談社現代新書
2022.2/23~2022.3/9

ワンコメ:恩師、故柏木博氏の一冊。
「しきり」という世界(デザインから文化人類にまでおよぶ)を縦横無尽に読み解いている一冊。
一言でいえば、柏木先生の博覧強記ぶりにあらためて驚いた。
書生として先生のご自宅に出入りしていたころ、先生の圧倒的な勉強量を思い出した。

・『ことり』
小川洋子著 朝日文庫
2022.3/10~2022.3/25

ワンコメ:ほとんど、何も起こらない日常風景が淡々と綴られている。
しかし、その飴細工のように精緻な筆さばきの見事さに、息を殺して読むことの快感も覚えた。

・『マーケティングの本質』
高原準一著 産業能率大学出版部
2022.3/26~2022.4/4

ワンコメ:友人でもある産業能率大学高原教授の著書である。
彼らしく、難しいことを丁寧にわかり易くと、言葉選びに気に留めながら、マーケティングの本質に迫った一冊である。

・『おしゃべりな部屋』
川村元気・近藤麻理恵著 中央公論新社
2022.4/5~2022.4/8

ワンコメ:倅とワールドワイドに活躍している片付けの達人、コンマリこと近藤麻理恵さんとの共著である。
片付けとは、個々の人生の写し鏡のようでもある。
7つの部屋の片付けを通して、誰もが抱くであろう心情が語られている。

・『まなざしの革命』
ハナムラチカヒロ著 河出書房新社
2022.4/10~2022.5/6

ワンコメ:著者は「モノの見方」とその「デザインの方法」ランドスケープを研究している気鋭の研究者(大阪府立大学准教授)である。
ここでは、常識・感染・平和・情報・広告・貨幣・管理・交流・解放の9つの章立てで自分のまなざし(囚われた既成観念)からいかにして解き放たれるかが述べられている。

・『ぼくたちは習慣でできている』
佐々木典士著 ちくま文庫
2022.5/7~2022.5/25

ワンコメ:もともとは編集者だった著者が自堕落な生活から、自分が満足する精神や肉体を、いかにして手に入れたかという変容のドキュメンタリーである。
自分の生活を通して実践した記録であるから説得力もあり、とても参考になる。

・『一汁一菜でよいという提案』
土井善晴著 新潮文庫
2022.5/26~2022.6/8

ワンコメ:柔軟でありながらも基本をきちんと押さえている、そうした料理に対するアプローチが好きで、家内も僕もファンで土井先生のレシピ本はしばしば日常的に利用している。
この『一汁一菜でよいという提案』は、たしかに料理の本ではあるが、哲学書でもある。
そして、タイトルである「提案」という柔らくもあるが、毅然とした態度表明とも受け止めることのできる言葉遣いに、ハッとさせられた。

いまのところ、このトイレ図書館という時空間で、とても塩梅のよいで読書体験を続けることができている。
さて、次はどの本を持ち込もうかな。

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