ファンサイト通信

2020年10月22日第883号『時間泥棒』

【モモ】

コロナ禍で、大きく変わったことがある。
それは、時間の使い方だ。
仕事の拠点が自宅になり、ほとんどの打合せもリモートワークで対応している。
結果として、打合せのために移動することも少なくなった。
加えて、夜の打ち合わせを兼ねた会食や飲み会も激減した。
週末、小口精算を会計ソフトに入力していたのだが、以前に比べ、打合せ会議費の領収書が圧倒的に少ないことに驚いた。

変化はこればかりではない。
夜の就寝時間も早くなった。
10時にはベットにはいり、そして朝4時ころには起きる。
顔を洗い、お湯を沸かす。
お茶を淹れ、ゆっくりと飲む。
次に、着替えて掃除をする。
そして、6時には机に向かい仕事に取り掛かる。
こうして、午前中には粗方の仕事を終える。
妻の拵える昼食を食べた後は、本を読んだりDVDを観たり、走ったりする。

コロナ禍以前なら、仕事から帰ってきてからも、冷蔵庫からビールとつまみを出し、とくに見たいということでもないTVを見ながらだらだらしていた。
気がつけば、深夜0時を回っていることもしばしばだった。
同じ様に、ネットでの回游もそうしたことの類であった。

考えてみれば、これまで(その全部が無駄とは言わないまでも)随分と多くの時間を、自分の意志とは関係なく奪い取られてきた。

ある日、町に灰色の男たちが現われてから、すべてが変わりはじめる。
「時間貯蓄銀行」からやって来た彼らの目的は、人間の時間を盗むこと。
人々は時間を節約するため、せかせかと生活をするようになり、人生を楽しむことを忘れてしまう。
節約した時間は盗まれているとも知らずに。
異変に気づいたモモは、みんなに注意するが、灰色の男たちに狙われることになっていく・・・。

ミヒャエル・エンデ作『モモ』は、真理を伝える寓話である。
その真理とは、「時間とは日々の生活であり、その人自身である」ということを。

時間泥棒の灰色の男たちから身を護る方法は一つしかない。
その方法は、自分が主役になること。

例えば、今日はだらだらと過ごす一日にすると決める。
例えば、このTV番組を見たいから観る、例えば、この情報を探すためにネットを回游する。
自分が主役になり、これと決めたならば泥棒の被害に遭わずに済む。

要諦を穿つなら、自分が「したいこと」や「すること」を明快にして行動することだ。
それは、つまり自分のライフスタイルを研究することでもある。
『川村隆一ライフスタイル研究所所長』として、とことん突き詰めてみる。
すると、その先にクッキリとした「自分ブランド」のカタチが見えてくる。

これが、僕がこのコロナ禍で気がついたことの一つである。

コメントは受け付けていません。

執筆者

川村隆一

川村 隆一

ファンサイト有限会社
代表取締役

1952年1月生まれ。
日本大学芸術学部卒業。
日活株式会社、日本工学院専門学校映像デザイン美術科(現)グラフィックデザイン科専任教師、株式会社Cカンパニー、株式会社ナガセ等を経て、ファンサイト有限会社を設立。
資生堂・イオングループ・キリンビール・マツダ等の企業コミュニケーション/広報活動のためのディレクションとプランニングを手がけてきた。

【書籍】「企業ファンサイト入門」日刊工業新聞社刊 2006年
【賞】経団連海外広報センター最優秀デザイン賞(横浜銀行アニュアルレポート)

最近の記事

バックナンバー

関連リンク

funsite
Fun-site Ltd. © All Rights Reserved.

ページトップへ