友人で弊社の株主でもある矢野裕史氏とアウトバーンを 走ったことがある。 シュツットガルトからバーデンバーデンまでの道程である。
シュツットガルト空港でレンタカーを借りたのであるが、 その時のレンタカー屋のお兄ちゃんの説明に少々驚いた。
矢野氏:「バーデンバーデンまで行きたいのですが」
レンタカー:「何分くらいでいきたのですか」
矢野氏:「え?何分で」
レンタカー:「えーと、1時間なら○○、1時間30分なら○○、2時間なら○○の車をお勧めします」
矢野氏:「そー、じゃ1時間30分で・・・」
結果としてぼくたちはメルセデスのCクラスの190だったか 200だったか記憶があいまいであるがそれを借りた。
さて、アウトバーンに入りレンタカー屋のお兄ちゃんの言っている意味を理解した。 片道5車線右から左へと早い順に走っている。 ウインカーを出しどんどん左へ移行できる。 ただし後ろから速い車がきたらどく。 なんだ日本と変わらないじゃないかとおもわれるでしょう。 違いは1つ、その速さなのである。 速度制限がない。(数年前から速度制限が設けられたという) 200キロはおろかそれ以上出ている車もある。 速いという基準がすべてのルールのなのである。 安全も快適さもすべて速さの次にくる要素なんだと思った。 だからこそ、そのなかで安全性と快適さを追い求め、結果として メルセデスがもっとも安全な車になったのかもしれない。
たとえばトヨタにはクラウンやカローラなど多様なブランド が存在しているがメルセデスベンツはクラスとそのクラスのナ ンバリングがあるだけのメルセデスというワンブランドである。
車はその国の特性がでやすいものであると聞いたことがある。
車は速く走るための道具。
クラスとナンバリングという順列に置き換えたワンブランドのネーミング。
この徹底した合理的な考えかたがドイツらしさなんだなと思えた。
ブランドを作り上げていくときの1つのヒントがここにある。「美しさ」「快適さ」「安全性」「経済性」「速さ」数えればきりがないほど実現しなければならない正しい要素のなかで特長のない車が生まれてくる。 これまで日本ではそんな車が多かったように思う。 もちろんなんでもありのそこそこ旨い食べ放題的なよさも否定しないが、正しいことが必ずしも勝つわけではない。
言いたいことは1つにしたほうが伝わりやすい。 日本で一番高い山の名前はいえるが二番目がどこか知らない。 ミッションはシンプルなほど強いのである。
ところで途中ぼくもハンドルを握った。
メーターを見ると200キロ近くでている。日本では経験したことのないスピードである。 ほどなく後方から赤い物体がどんどん迫ってくる。 右の車線に移動する。
そして横をすり抜けた。「は、速い」
ポルシェか、いやMAZDA RX-7だった。
ガンバレMAZDA。