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第619号『ファンになってしまった』

IMG_5322s【お気に入りのトートバッグ】

使い始めて1週間も経たずに、トートバッグの内ポケットが破れた。
早速、お店に連絡した。
店主に事の次第を説明する。
「では、なるべく早く送ってください。修理するか、新たに作るかを見てみます」との回答。

でも、ちょっと躊躇した。
とても気に入っていたので、戻ってくるまで時間がかかるのは厭だなと思った。

実は、この店で購入したトートバッグはこれが2個目。
一昨年の4月、父の法事で弘前に帰省した。
法事もすみ、高校時代の友人がオーナーシェフをしているレストランに向かっていた。
その途中、間口の狭い店構えのウインドウに革製品が数点、置かれているのが目に留まった。
誘われるように、その店内に入った。
手に取ってみると、いかにもしっかりとした作りでデザインセンスもいい。
その時、購入したのがモスグリーンの帆布で作られた1個目のトートバッグ。

購入時、少し驚いた。
店主から、これから製作するので、手元に届くのは早くても2ヶ月後と告げられた。
注文したことすら忘れかけていたころ、トートバッグがやってきた。
あれから1年、ほぼ毎日使っている。
シンプルで重くもなく、荷物も十分に入る。
ともかく、使い勝手いい。

そして、今年4月、再び父の法事で弘前に帰省した折り、2個目のトートバッグを手に入れた。
今回は、夏用にオフホワイトの帆布で、持ち手の革がチャコールグレーのものを購入した。
これも、すこぶる気にって使い始めた矢先だった。
だから、修理に時間がかかるのは厭だなと思った。

ところが、あっけないほど早く修理が完了し、3日後にはボクの手元に戻ってきた。
しかも、お客さまに使っていただいている時のトラブルなので、最優先で修理した旨の詫状
とともに持ち手と同じ色(チャコールグレー)の革のキーホルダーまで入っていた。

1円の儲けにもならない仕事を最優先したのだ。
ボクはすっかりファンになってしまった。

現在とは店構えが違うので見落としていたが、この革具店はボクらが子どもの頃からあった
ことに気がついた。

弘前市一番町にある「亀屋革具店」。
1915年(大正4年)創業100年の歴史を持つ。

元々は馬具用の革製品を作っていた。
弘前は、戦前から農業が盛んで農耕馬がたくさんいた。
加えて、八甲田雪中行軍遭難事件でも知られた、第8師団が置かれた軍都であり軍馬も数
多くいた。

しかし、時代の流れとともに、馬具を作る仕事もなくなり、鞄やキーホルダーなどの製品
製造に業態を変え成功した。
いわば、BtoB(農耕馬や軍馬を相手にする)からBtoCへと転換した。
T・レビットのマーケティング論を借りるならば、企業が売ろうとするものが、売り手によっ
て決まるのではなく、買い手にによって決まるという点に準じたのだ。
そして、亀屋革具店はいまや東北のエルメスと呼ばれるまでになった。
(ボクはこの呼ばれ方、あまり好きではないが、個人的にはエルメス以上だと思っている)

三代目、肥後伸一郎さんは言う。
納得いく製品を届けたいので、1ヶ月に7個か8個作るのが精一杯だと。
だから、モノによっては1年半待ちのものもある。

弘前に行かれた際には、是非覗いてみていただきたい。
ただし、購入されるのであれば待つことは覚悟のうえで。

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