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第556号『Paint It Black』

【開演を待つ東京ドーム】
【開演を待つ東京ドーム】

6日、東京ドームでザ・ローリング・ストーンズ日本公演を観た。
Jumpin’ Jack Flashから始まり、Satisfaction まで瞬く間に過ぎた。
ミックが目の前で、少年のように軽やかにステップを踏み、飛び回っている。
その動きは、まるで修行僧のような所作にも思えた。
それにしても、1962年結成以来、なぜ、かくも長きにわたりストーンズは
ストーンズを続けているのだろう。

1968年17歳の夏、ボクは親友Tと弘前鍛冶町にあったダンスホールACBにいた。
フロアではミラーボールの光が乱反射する中、汗にまみれながら数十人が踊って
いる。
流れていた曲は、ストーンズのPaint It Black(黒く塗れ)。
突然、「ピー」という笛の音とともに少年補導の警察官数名が押し入ってきた。
咄嗟に、Tとボクは非常口から屋根伝いに逃げた。
なんとか、難を逃れたボクたちはジーンズのポケットに手を突っ込み、英雄気取
りで夜の街を徘徊した。
歩きながら、Tは少し苛立ちながらポツリと言った。
「何が欲しいのか、何が言いたいのか、それが見つからないんだ」と。
Paint It Blackの音が耳鳴りのように頭の中で、渦巻いていた。

Tとの出会いは、高校入学のその日、同じクラスで席を並べたことから始まった。
彼は、病気で2年遅れての入学、言動も仕草も、他のクラスメイトとはまったく
違っていた。
成績も学年でトップクラスの彼と、底辺を這っていたボクとの組み合わせは奇妙
だったが、なぜか馬が合った。
高校を卒業し上京。
ボクは、かろうじて滑り込んだ美術大学に席を置いた。
彼は進学せず、バイトをしながら小説を書いていた。

世間では、団塊世代が火をつけた学園紛争は、結局、どこにも帰結することなく
終焉し、ビートルズも1970年には解散。
なんだか釈然としないまま、残り火だけがぶすぶすと燻り、ボクらは取り残された
気分でいた。
そんな澱みを掬ってくれたのがストーンズだった。
全てを黒く塗れ!と。

1973年春、Tとボクは彼らの日本初公演のチケットを握りしめ、待っていた。
しかし、ミック・ジャガーの薬物騒動があり入国許可がおりず、タラップから降り
ることなく羽田からそのまま帰ってしまった。
それから何回が来日したが、行かなかった。
心のどこかでわだかまりが生まれ、拒んでいた。

あれから40年、いまストーンズがボクの目の前にいる。
ただ、いちばん一緒に観たかった親友Tがいない。
自らの命を絶って11年・・・。

Paint It Blackの演奏が始まったとき、Tの声がかすかに聞こえたような気がした。

お知らせ
3月21日は春分の日、祝日でファンサイト通信はお休みです。
次回は3月28日金曜日、配信予定です。

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