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第517号『香りの記憶』

【小さな白い花】
【小さな白い花】

日曜日、前日の雨も上がり、すっきりとした空が広がる。
そろそろ準備しなければ。
恒例の山中湖ロードレースが迫っている。

4月、法事が重なり、ほとんど走ることが出来なかった。
トレーニングをしない期間が長くなると、手足がうまく連動せず、呼吸のリズムも
上手くとれず、はなはだ苦しい。

今日こそはと、意を決して走り出す。
この日はアトリエから家並みを通り抜け、小さな入り江を見ながら、桜並木のある
公園で折り返す往復8キロほどのコース。

予想通り、手足がバラバラ、息も苦しい。
他人から見れば、ただ滑稽な動きをしている、変なおじさんにしか見えないだろう。
ともあれ、我慢しながら走る。

しばらくして、鼻腔をくすぐる香りがする。
どうやら、通りに面した家の垣根から漂ってくる。
見れば、ジャスミンの白い花が一斉に咲いている。

ふと、初恋の人を思い出した。
小学5年の時、田舎の学校から街の学校、弘前市立第三大成小学校へと転校した。
その時、隣の席だったクラス委員のHさん。
慣れない僕に、あれやこれやと親切にクラスの決まり事を教えてくれた。
しばらくして、Hさんから誕生日会があるから家に遊びに来てと、誘いの声を掛けて
もらった。

当日、教えられた住所を目指す。
到着したHさんの家は、瀟洒な洋館づくり。
(弘前は城下町だが、なぜか以外と洋館も多い街である)
その前庭にジャスミンの花が咲き誇っていた。
そして怖ず怖ずと、でも少し高揚した気持ちで玄関ベルを押した。
思いもかけなかったことだが、50年も前の風景が一遍に蘇った。

香りや匂いには、脳内の底に沈んでいた記憶を呼び覚ます効用があるのだろうか。
その後、なんとなく身体がスッと軽くなり、心なしかリズムよく走ることができた。
その香りの御陰ということでもないだろうが、しかし、ワクワクとした高揚感が沸き
立ったのは、確かである。

2件のフィードバック

  1. 流れる時間も空間も重なりあい
    アンダンテの流れるようなメロディすら聴き取れるかのようで
    ますます快調な写真と名文です
    僕もこうゆうのやりたくなりますね

  2. 福澤様、ご無沙汰しております。コメントありがとうございます。励みになります。これからも、日々の交々を拙い文で綴っていきたいと思います。

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