第50号『習慣』

ロングピース40本、これが33歳の時の一日の喫煙本数であった。
タイのパタヤビーチで開催される「タイトライアスロン‘87」に参加するため水泳を習い始めたころである。
しばらくして泳ぐ度にどうにも息苦しさを感じた。
コーチに相談すると『それは君、タバコの吸い過ぎだ』と一喝された。

日々の生活の中で約3割の行動パターンが、ほぼ毎日同じ事の繰り返しである、という記事を新聞か雑誌で読んだ。
生活の中で基本的な行動が3割を占め、この3割の行動パターンの選択でその人の常識がほぼ何であるか決まるという。

朝起きて最初の行動、歯の磨き方、トイレの時間、ホームでの立ち位置、会議での座席、いつもの口癖、そしてタバコの吸い方も酒の飲み方も・・・。
おそらくこれら全ての行動はほとんど考えることなく繰り返し行っているうちに習慣として身に付ける。

大好きなロングピースを止めるか、2キロを泳ぎきれず溺れるかの二者択一。
思案の挙句ロンピーを止めることにした。
元来、切れの悪い性分も手伝い、十数年付き合ったものと別れるのは容易ではなかった。

ではどうしたか。

「as ifの法則」というのを知人から教えてもらったことを思い出した。
この法則は「as if=まるで・・・かのように、××になりたいのであれば××のように振る舞う」というものである。
つまり目標にする姿を手に入れるためには、その目標とする姿のように自らも演じるのである。
こうして思考回路も行動も変化していく。

毎日の繰り返しの行動を変えることからスタートするのが自己変革の近道である。

だからタバコを吸う時間と場所をずらしタバコの代わりに水を飲んだ。(朝起きてコーヒーを飲みながら台所のテーブルで1本目を、2本目は駅のホームの喫煙コーナーのところで等、だいたいタバコを吸う時間と場所は決まっているものですよね。)
そして雑誌にあったトライアスリートの写真の切り抜きを定期に忍ばせ、時々眺めては自分もこうなるんだとイメージした。

以前、尊敬する先輩宅のトイレに飾ってあった言葉が気に入り、用をたしながら写し取った紙切れが掃除していたら出てきた。
最近、その言葉を時々声に出して読む。

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「おまえには無理だよ」と言う人の事を聞いてはいけない。
もし、自分で何かを成し遂げられなかったら他人のせいに
しないで自分のせいにしなさい。
多くの人が僕にも「おまえには無理だよ」と言った。
彼らは君に成功して欲しくないんだ。
なぜなら彼らが成功できなかったから。
途中で諦めてしまったから。
だから君にもその夢を諦めて欲しいんだよ。
不幸な人は不幸な人を友達にしたいんだよ。

決して諦めてはだめだ。
自分の回りをエネルギーで溢れ、しっかりとした考えを
持っている人で固めなさい。
自分の回りを野心に溢れ、プラス思考の人で固めなさい。
近くに誰か憧れる人がいたらその人にアドバイスを求めなさい。
君の人生を変えることが出来るのは君だけだ。
君の夢が何であれ、それに向かっていくんだ。

             ロスアンゼルス レイカース
             マジック・ジョンソン
             『MY LIFE』より
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なんとかタバコから解放され、トライアスロンも完走できた。
でも、こんどのテーマははるかにハードルが高い。

会社を始めてほどなく1年。
成りたい自分にどれだけ近づけただろうか、それとも離れたのだろうか。

青臭く、気恥ずかしくはあるが、残りの人生、他人からどう思われるかではなく、自分がどう思うかだ。と

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