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第494号『「安穏廟」成功の秘密』

【角田山妙光寺の「安穏廟」】
【角田山妙光寺の「安穏廟」】

A社ウォーキングシューズの販促企画を通して、ファンの存在に気が付き、気になり始めた頃、
もう1社得意先を担当していた。

大阪に本社を置く、大手葬儀会社。
その、東京進出のコミュニケーションプランを任された。
大阪を中心に関西ではよく知られているが、東京ではほとんど知名度がない。
広報宣伝担当の部長と侃々諤々しながら、方法と表現をまとめた。
田園都市線で、当時制作した頑固親爺の独り言をコピーにした車内広告をいまでも、時折見かける。
前置きが長くなりそうなので、この葬儀会社の話しは、また別の機会に。

さて、今回のファンが集まる場所の話しである。
きっかけは、先ほどの葬儀会社で出会った広報宣伝部長のO氏。
葬送に関しての書籍を上梓するなど、現場を知っているだけではなく理論派でもある。
柔らかな笑顔と、問題をあぶり出し、刺すような指摘をする、なかなか手強い得意先であった。
ある日、O氏から、「これはあくまで、個人的な誘いなのだが・・・」と、切り出してきた。

彼の話しを要約すると、関わっている葬送のイベントが8月末に新潟であり、その集まりに
ボランティアとして参加して欲しいということであった。

現在、新潟市に編入してしまったが、旧巻町にある角田山妙光寺。
この寺の境内には、共同墓『安穏廟』がある。
いまや共同墓『安穏廟』は、寺の成功事例として、全国に知れ渡っている。
このイベント『フィステバル安穏』に参加し、ここでもファンが集まるという実態と、
その仕組みを幾つか垣間みた。

墓は血縁によって受け継がれる。
しかし、家族の形態が複雑になり、女性の生き方も多様化した。
子供が女性だけで跡取りがいない、あるいは結婚していても、夫の墓には入りたくない
という方もいる。

1989年、共同墓『安穏廟』は、家族、血縁による跡継ぎを必要としない墓として誕生した。
女性の、こうした実態を踏まえ、NPO団体、メディアや研究機関などの関係者が中心となり、
この共同墓の取り組みを支えていた。
また、全国でも最初の試みということもあって、多くの研究者や、学生の研究の場にもなった。

一方で、お寺にも事情があった。
保守色の強いとされる新潟で、なぜ、こうした先進的な取り組みが可能になったのか?
戦後、地方から都市部への人口流出に伴う檀家の減少。
寺の経営危機や、跡取りの問題も抱えていた。
危機感をもった中心的な檀家の人たちと、小川英爾住職のリーダーシップにより、
自分たちの寺に、いわば他所の人びとを受けう入れるという決断をした。

いまや、毎年、8月最後の日曜日には、全国からこの『フェステバル安穏』に数多くの
血縁ではなく、知縁によって結ばれた安穏ファンが集まり、自分たちの終の住処で、
供養と交流会を開き、その繋がりを深めている。

なぜ、安穏廟が成功しているのかを備忘的にまとめたものが、当時のノートにメモしてあった。
いくつか列挙する。

安穏廟成功の秘密
・同じテーマ(血縁によらない墓を望む)人の集まりが潜在的に存在していた。
・地方で、周辺にこれといった競合がいない。
・新聞、放送といった企業側ではない、中立的な(コンシュルジュのような)存在
 が介在したことで、胡散臭くなく本質的な問題として共同墓を伝えることができた。
・『フェステバル安穏』というイベントを通して、お客様とのタッチポイントが
 リアルに作ることが出来たので、お客様にとって、自分の墓としての存在感と帰属感を
 形成することができた。
・共同墓の意匠(ランドスケープデザインも含めて)が優れていた。
・葬送の専門家の回りに、その分野に興味を持つファンが集まった。

こぼれ話を1つ。
この、イベント、クライアントの部長からの要請での参加である。
回ってきたの仕事は、下足番と駐車場での誘導係だった。
8月後半とはいえ、外は炎天下、まだまだ茹だるように熱い。
仕方がないと、半ばやけくそで動き回った。
イベントが終わり、お客様は各々自分の車やバスへと向う。
ここで、おもしろいことを発見した。
この帰り際、参加者の会話とともに、様々な意見が聞こえてくるのだ。
「今日の、○○先生の講話は良かった」とか、「あそこで待たされたが疲れた」とか。
いわば、出口調査を、リアルに体験できた。
後で、照らし合わせてみると、アンケートでは評価が高いのに、僕が聴いた意見と
必ずしも一致しないものもあった。
こうしたことも、次回への改善策の一つとして、中心メンバーに報告することができた。
以来、自分たちのイベントを仕掛けるとき、僕は出入り口で応対する係りを積極的に申し
出ることにしている。

次回も、ファンを集めることに成功している場所をご紹介してみたい。

最後にお知らせを1つ。
倅、川村元気の初著作本、『世界から猫が消えたなら』(マガジンハウス刊)
25日より、全国書店にて発売開始。
世界から猫が消えたならamazonからも購入可能です。
よろしくお願いします。

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