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第493号『K直営店成功の秘密』

【万歩、歩いて、百の景色を見よう。 啓蒙誌『万歩百景』】
【万歩、歩いて、百の景色を見よう。 啓蒙誌『万歩百景』】

はじめてファンの存在を意識したのは、A社のウォーキングシューズを担当した時のことだ。
この頃、僕は倒産したアパレル会社の宣伝部を母体に独立した会社に席を置いていた。
ファンサイトを起業する遥か以前のことである。

この企画制作会社で、ウォーキングシューズの販促企画担当になった。
毎月、売上集計の一部を見せてもらいながら、店頭でのPOPや、パンフレット、
ギブアウェイ、季節ごとのキャンペーンの仕掛けなどを提案していた。

ウォーキングシューズといっても、一見して普通の靴とさして変わったところはない。
デザインだけ見れば、むしろ無骨なものだった。
全国数カ所ある直営店と一部の百貨店での取り扱いも僅かで、まだまだ商品の認知度も
低く、値段も倍以上もする。
しかも、足を計測し、データを採るという面倒な手続きまでお客様に強いる。
こんなモノが売れるのかと、弱気な気分になった。

担当となって数ヶ月後、気が付いたことがあった。
商圏としては、一番小さいはずのK地方の直営店が毎月上位にくる。
なぜだろうと、不思議に思っていた。
そんな時、冬のキャンペーンで、展示指導を兼ねた現地訪問の機会があった。
僕は、謎を質すべく、事前にその直営店の店長に連絡しておいた。

到着し、店内を見回す。
他店と変わった様子は見つからない。
早速、売上の秘密は何かと尋ねてみた。
店長は、ニコリと微笑み、傍らにいた一人の女性を紹介した。
少しふっくらとした40代のその女性、Yさんは店員ではなく、お客様だった。
外反母趾で、それまで何度も合う靴に出会うことが出来ず悩んでいたという。

Yさんは、ある日、ふらりと店に訪れた。
そして、店長からウォーキングシューズの特性を聞き、足の計測をし、購入した。
それから数ヶ月、いままでどんな靴も履き慣れるまでは痛かったのが嘘のように、
履き心地が良く、すっかり虜になったのだと話してくれた。

さて、ここからである。
まずは、価格に対するハードルは高くはなかったのかと訊いた。
答えは、足に悩みを持つ人にとっては、この手のシューズの値段は、普通のものに
比べて高価であることは、当たりまえのこととして受け止めていた。
さらに、地方であることがかえって、利点になっていた。
この店が出来るまで身近に専門店がなかった。
これまで、彼らは自分の足に合う靴を探しに、わざわざ東京や大阪まで出かけていた。
だから、首都圏に比べれば遥かに近いということで、隣接する他県からの集客も増えた。

なにより、Yさんは、足に悩みを持つ仲間に、ただ良い店だと伝えるだけではなく、
靴の仕組みをしっかりと理解し、実感としての履き心地と、なぜそれが可能になった
のかという、科学的な裏づけがあることも同時にクチコミした。
そして、なんといっても、この靴を自分のものとして受け入れることができたのは、
面倒な手続きと思っていた、計測というリアルな体験があったことだという。
直に足に触れ、客観的な判断も加えて靴を選ぶことに、安心と信頼が置けたと。
こうして、Yさんは、A社のウォーキングシューズのファンになり、このエリアの
伝道師となった。(笑)
彼女の回りにいる同じ悩みを持つ仲間が、まずは履き心地が良いことを証言する
証人となり、賛同の輪を広げた。
そして、予想を超え、足にそれほどヘビーな問題を抱えていない人にまで足に良い
靴として噂が広がった。
結果、売上も直営店上位になった。

なぜ、この直営店が成功しているのかを備忘的にまとめたものが、当時のノートにメモしてあった。
いくつか整理したものを列挙する。

K直営店成功の秘密
・同じテーマ(今回は足の痛みという悩み)を持つ集まりが潜在的に存在していた。
・地方で、周辺にこれといった競合がいなかった。
・もともと、プライスが高い商品であることを当然と受け止めていた。
 むしろ、これまでのものに比べ、リーズナブルだった。
・Yさんという企業側ではない、コンシュルジュのような存在が生まれたことで、
 周囲に実感として、商品の良さを伝えることができた。
・計測という、お客様とのタッチポイントがリアルにあることで、実感としての安心感を
 形成することができた。
・ヘビーなファンの回りに、ソフト(二次的)なファンが集まった。

次回は、ファンを集めることに成功している場所をいくつかご紹介してみたい。
(あっ、めずらしく予告なんかしてしまった。大丈夫かな?)

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