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第252号『Cuba/Okinawa—サルサとチャンプルー』

【ハバナ】
【ハバナ】

日系キューバ移民をテーマにしたドキュメタリー映画『Cuba/Okinawa—サルサとチャンプルー』の試写会に行った。
監督は我が師、映画評論家の波多野哲朗氏である。
2000年に撮影開始し、2度のキューバ訪問と数回に及ぶ沖縄での撮影を経て、この度完成した。

日本人の国外移民が「海興移民」という名の下に、国策として始まったのが1924年。
飢餓による農民の口減らしと、富国強兵を目指した政府の施策として始まった。
それにしても、なんという政策だったのだろう。

初期のキューバへの移民は日本から直接やってきたのではなく、メキシコやブラジルなど中米諸国へと渡った移民が、好況だった砂糖産業に群がるようにキューバへと流れていった。
当時のキューバ移民は短期的な出稼ぎ型、季節型労働者が多く、出入りが激しかったという。
そのため、日系キューバ移民の存在は、移民史研究においても無視されてきた。
それでも、かつて百数十人もの日本人が住み、その多くが帰郷の夢を果たせず、彼の地で死んでいった。

映画の中盤で、土くれた風景の中に突如、野ざらし状態の廃墟が現れる。
映し出されたのは巨大なドーム型パノプティコン(一点監視方式)の監獄である。
このドーム型パノプティコンに隣接する獄舎に、第二次世界大戦時、キューバにいた日本人成人男子全員が収容されていた。
対戦中のアメリカやカナダでの強制収容については、しばしば話題に上ることがあるが、ここでも同じような、いや、それ以上に過酷だった過去の事実が、忘れ去れ、記憶や歴史か
ら置き去りにされていた。
日系キューバ移民は、辺境から辺境へ、底辺から底辺へと移り行ったディアポリス(故郷から隔てれた民衆)だった。
この映画を通して、これまで、全く知るすべもなかった事実の一旦を垣間みることができた。

ともすれば暗く批判的になりがちなテーマであるが、全編を通して感じるのは人間の温かさであり、繋がりの強さだった。
それはとりもなおさず、これまで誰も伝えることが出来ず、埋もれていた過去を、多くの同朋に伝えようとした監督の柔らかな眼差しと、強い想いだったのではないか。

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