第235号『ともに食べるということ』

【ノルウェー産サーモンのグラタン仕立】
【ノルウェー産サーモンのグラタン仕立】

今月は母の葬儀、従甥の結婚式と続けざまに血縁のあるものたちと一同に顔を会せる機会が続いた。
そして、悲しみや喜びの中にも、なんとも摩訶不思議な安心感に包まれている自分を発見した。
それは、顔や声、しぐさが似ている族の一員として、この集団の中に、身を置いていることがもたらすものなのか。
はたまた、根拠のない「価値規範」という幻想をあたかも共有しているように錯覚していたからか、定かではない。
ともあれ、そんな気分だった。

そして、悲しみのうちにも、微かな希望の笑いがあり、喜びの中にも、僅かにほろ苦い思い出を語らい、膳を囲み、ともに同じものを食した。

幾つもの偶然によって父と母の子として生を受け、気が付けば周囲に生活をともにする人々がいた。
考えてみれば、親兄弟、叔父叔母、従兄弟等々、血縁を得た人たちとの出会いは、意味ある偶然の一致に因っている。

意味ある偶然の一致をシンクロニシティと呼ぶ。
通常、この偶然は、ともに食べることにより、強固な必然へと変化していく。

ファンサイトのメンバーもまた、シンクロニシティによって集まった仲間である。

ファンサイトでは、2~3ヶ月に1度、全員が集まり、食事会を開く。
この会食会はファンサイトにとって、最も大切な行事の1つである。
だから、皆、万端繰り合わせて参加する。
皆で成果を分かち合い、食らい飲み、且つ、語らう。

家族であれ仲間であれ、私たちは生きるうえで「価値規範」と「価値共有」を必要としている。
たとえそれが幻想だとしても。

さて、今度はどこで何をともに食すか。


■■お知らせ■■

連休のため、ファンサイト通信は来週5月4日はお休みです。
次号236号は5月11日金曜日、配信予定です。

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