第210号『ホノルルマラソンの走り方−7』

【波】
【波】

9月23日晴れ、5時起床。
市町村合併で南房総市となった旧千倉町に向かう。
縁あって年に2、3回訪ねる。
ここ数年でもっともお気に入りのエリアである。

居心地の良い宿。
美味くて安くてスタッフのさりげない気配りが気持ち良い居酒屋。
ハムとソーセージ、そして逸品レバーの薫製をこだわり続けて作る中年サーファーの店。
教えてもらわなければ絶対に辿り着くことができないであろうと思われる、バーブをベースにした料理の店、ここぞ、まさしく隠れ家。
まだまだあるが、とまれ光と風と空気が軽やかな町、それが千倉だ。

前日、台風が通過した影響もあり、その余韻の強風が吹き荒れ、海は時化、白い波頭が大きく渦巻いていた。

この日、第36回ロードレース千倉でハーフマラソンに出場する。
そして、ホノルルフルマラソンの半分の距離21.0195キロを走る。
参加総数1,941名。

会場は、ランニングウエアなどの臨時販売店が2、3出店し、焼きゾバや豚汁、地元名産の海産物の即売と試食会そして、ビール、ジュースなどもあり、さながら運動会か文化祭のような雰囲気に包まれていた。

受付を済ませ、トイレに行き、水を飲み、ストレッチを十分に施す。
受付時間、32分前には会場に到着したので10時30分のスタートまでは時間がたっぷりとあると思っていたら、あっという間にスタートの時間だ。

スタート地点まで、ゆっくりと移動。
周囲を見渡せば、屈伸を繰り返す人、腕や太ももを手のひらでパンパンと軽く叩いている人、サロメチールの臭いがやたらする人、友人たちとおしゃべりに夢中になっている人。
それぞれ、スタートまでの緊張感となんだか楽しそうに付き合っている。

スポーツ用にストップウォッチ機能の付いている腕時計に目を遣る。
通常の時間表示のモードからストップウォッチにモードを変え、表示を00:00にセットする。
突然、パンと短くスタートの号砲が鳴った。
一瞬、辺りがシンと静まる。
1000名を超える群は直ぐには反応できず、まるでシロナガスクジラのような巨大な生き物のごとく、ゆったりと動き出した。

さて、これから21.0195キロの旅が始まる。

つづく

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