雨のぱらつく午後、買い置きの電池とCD-Rを求めて、量販店に出かけた。
必要なものを買い終わり、ぶらぶらと店内を見て回る。
そして、PCのコーナーで足が止まった。
「iMac G5」
久々に欲望が湧いた。
はちゃめちゃにエレガントで美しいデザインだ。
まるで、現代彫刻のようにもみえた。
ひらすら眺めていたいと思った。
(勿論、帰りには大きな箱を抱えていました。(^ ^ !)
そして、僕のなかでPCは役に立つ無機質で無個性な仕事箱から、フォント(文字のカタチ)やアイコン類が美しく、音楽とともに仕事を楽しむ特別なモノに生まれ変わった。
こうして、時おり、ある特定のモノについて、その考え方や見方がガラリと根底から変えてしまうようなデザインに出会うことがある。
例えばナイキのシューズを履くと、いつもより身体が少し軽くなり、ちょー動けそうな気分になる。
例えばスターバックスにいると、じんわりといつもより本音で話せたり、ゆっくり本が読めるような隠れ家になる。
すぐれたデザインは他と差別化できるなにかがある。
それを言葉にすれば、「はちゃめちゃ」だったり、「ちょー」だったり、「じんわり」だったりということになる。
大賀典雄、元ソニー会長は言った。
「ソニーでは、競合他社の製品はどれも、その技術、価格、性能は基本的に同じだという前提だ。現実の市場で、製品と個性をきわだせるのは、デザイン以外にない」
けだし、その通りである。
今日、ソニーの苦戦はこの一点を忘れているからではないか。
「めちゃかっこいい!」ソニーの製品が早く見たい。
iMacの生みの親、アップルコンピュータ社のスティーブ・ジョブズ最高経営責任者(CEO)が今年6月に行なわれたスタンフォード大学の卒業記念式典で、卒業生たちに向かって語りかけたというメッセージメールが知人から送られてきた。
以下はその抜粋と要約である。
ジョブズは、オレゴン州ポートランドのリード大学に入学したが、労働者階級の家庭には学費が高すぎたため8ヵ月で中退した。
そして、大学中退がこれまでに行なった最高の決断だったと言う。
なぜなら、大学中退によって、創造的にならざるを得なくなったからだと。
例えば、夕食代を捻出するために、ジュース瓶を返却するともらえる5セントの保証金を集めたり、ハレ・クリシュナ教団から配られる無料の食事で生き延びた。
退学したものの、結局18ヶ月間もの間、学校に居座っていた。
この18ヶ月の間に、自分の本当の勉強が始まった。
興味を感じる授業を手当たり次第受講した。
そして、もっとも興味を抱いたのがカリグラフィー(手書き文字)の授業だったという。
文字の細かい部分にとことんこだわることや、さまざまなフォント(書体)の成り立ちを習得した。
このことが、後にマッキントッシュを競争相手とは別格の存在にすることができたと語った。
「大学を中退しなければ、カリグラフィーの授業には出会えなかっただろう」
とジョブズCEOは述べている。
やっぱりそうかと思った。
ジョブズはデザイン至上主義者だと。
そうでなければiMacもiPodもこの世に誕生するはずもない。
優れたデザインには共通するなにかが宿っている。
それは、やる気を喚起する。
それは、経験を共有させる。
それは、感情を揺さぶる。
デザイン心のある人、いや、デザイン魂のある人。
これこそがこれからの経営者に求められていることではないか。
ジョブズは言う。
「デザインは人の手による創造物の魂だ」と。
【お知らせーその1】
本日、ファンサイトウェブサイトが創業以来、初めてリニューアルしました。
魂を込めて作りました。
11月に入ってからご覧いただけるところもありますが、順次ご案内させていただきます。
是非、ご高覧ください。
また、皆様のご意見をいただければと願っております。
【お知らせーその2】
第6回「一揆塾」開講のお知らせテーマ:「SOPH.ファッションを越えて」
SOPH代表取締役 清永浩文氏
日時:11月11日(金)19時より
場所:ファンサイト有限会社
快進撃を続けるファッションメーカーSOPHはファッションに止まらず音楽、建築、サッカー、ナイキとのジョイント等、様々なムーブメントを繰り広げています。
次回「一揆塾」では、このキーマンでもある清永氏に登場をお願いします。
さて、どんな刺激的なお話が伺えるか、いまから楽しみです。
【お知らせーその3】
次週、28日(金)のファンサイト通信は出張のためお休みします。
次回のファンサイト166号は11月4日(金)にお届けします。