第144号『一期一会』

土曜の午後、スーパーで買い物をし、パックに入った惣菜2,3品を皿に移し変えるのももどかしく、発砲スチロールの容器に入れたままテーブルに並べ、食べ始めた。
食事の途中、なんだか不快な気分になった。

あたかも、陶器の絵皿のように見せかけた容器に盛り付けられた総菜。
原因は、テーブルに散乱したこの発泡スチロールの容器があまりにも「醜い」と思ったからだ。

なぜ、その時、醜いと感じたのか。
「醜い」は「見にくい」ことであり、そして「見ていたくない」と思う自己の感情のことである。

日本人男子の平均寿命が77歳として、残り24年。
24年×365日×3回=26,280回、飯を食うことになる。
その内、自宅で食べる回数を3分の1として、8,760回。
つまり、あと87,60回自宅で飯を食ったら、自分という存在そのものが、この世から消え失せるということである。

そんなことを考えていたら、どうしても気に入った器で飯が食いたくなった。

ガサゴソと食器棚の奥から、従兄弟の一周忌にいただいた砥部焼の皿と器を引っ張り出す。
名のある作家のものだと聞いて、後生大事にと使わずにいた。
でももう、多少、淵が欠けようが構わずどんどん使おうと決めた。

肉厚で多少ざらつきのある手触り、そして、その深い緑に彩られた皿と器には、たしかに作家の手と土と火によって生まれた息吹のようなものを感じた。

どこでどんな経緯で作られたのか、自分とは直接には係わりはないが、その器を通して他人との繋がりのようなものさえ感じた。

惣菜を盛り付けてみる。
惣菜の色合いが鮮やかになり、旨そうだ。
そして、美しい。

「美しい」には大切な役割がある。
それは、自分と直接には係わりのない他者や、モノとの関係を発見することである。
それを、「一期一会」とも呼ぶ。

こうして、自宅で使う食器をじょじょに作家が作ったものに買い替えている。
だから、ときどき茨城県笠間市まで自分の気に入った器を捜し求めて出かける。
さて、次はどんな器と出会えるのか、いまからドキドキしている。
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「一揆塾」開講についてと塾生募集のお知らせ

前回、ファンサイト通信143号にて、「一揆塾」開講をお伝えしましたところ、講座内容や、参加申込みのお問合わせを多数いただきました。
以下、その概要です。

日時:5月20日(金)19時~21時
場所:千代田区内神田1−8−1 三井ビル 7階会議室

基調講座:「欲望の一元化を突き破って」
講師:宇田 一夫氏
(マーケットプランナー)

5月20日以降の予定講師陣 とその分野

藤居穣太郎氏(外食産業およびFC)
(株式会社藤居事務所社長 元ファーストキッチン社長
元日本サブウェイ社長)

平野信介氏(金融)
(前産能大学教授)

野村秀之氏(広告)
(株式会社博報堂ニュービジネス開発推進部部長)

波多野哲朗氏(映画・映像)
(日本大学大学院教授)

島本和彦氏(スポーツビジネス)
(NHK NBA解説者)

平 一廣氏(異文化交流)
(財団法人津田塾会 教育事業部コーディネータ )

清永浩文氏(ファッション)
(SOPH.代表取締役)

伊藤篤氏(インターネット)
(オライリージャパン編集長)

その他、現在交渉中

受講料:無料ただし懇親会費として1回3,000円前後

上記の概要で行う「一揆塾」の塾生を若干名募集します。
住所・氏名・年齢・現在のお仕事・連絡先電話・希望動機を明記の上、5月10日(火)までに下記e‐メールアドレスまでお送りください。
皆様との一期一会をお待ちしています。

お申込みはこちら

[email protected]

なお、個人情報に関しては、カワムラが責任を持って管理いたします。

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次回ファンサイト通信配信予定のお知らせ

今年は長い長い連休のため、次回ファンサイトは5月13日(金)配信予定です。

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