結果には常に原因が付き纏う。
柔道、水泳、体操、陸上などアテネ五輪で好成績を収めた競技と関係者の話しから、その原因のいくつかが共通していることがわかった。
・母体となる連盟なり協会が高い目標を掲げビジョンを示した。
・基本的なトレーニングに十分な時間を割いた。
・選手とコーチに権限を与え、責任の所在を明確にした。
・メディアを通して人気の拡大を図り、選手のモチベーションを維持した。
・選手のメンタル面での対策が十分にできた。
例えば、団体で金を獲得した体操は強豪ロシアのトレーニング方法を研究した。
なんと、そのロシアのトレーニングの方法とは、かつての日本の体操をお手本にしていた。
そして、基本動作のトレーニングに多くの時間を割くことにより、自信を持って試合に臨むことが出来た。
例えば、水泳はオリンピック直前合宿をヨーロッパ屈指のリゾート地、イタリアのサルディーニャ島でおこなった。
選手を最高の環境に置くことにより、自分たちは選ばれていまここにいるという個々人のプライドや、一流であることの自意識を高めることができた。
もし、これほどまでの結果がでなければ恐らく批判がでたであろう。
なぜ、そんな高級リゾート地でキャンプをしなければならないのか?
たかがスポーツごときが・・・。
連盟がそんな風評を予測し、結果を恐れていたら従来通り、慎ましやかに開催現地の適当な施設でキャンプをしていたであろう。
曰く「少ない予算とあまり恵まれない環境だったが選手は懸命に努力した」との言い訳を用意する材料にしかならなかっただろう。
しかし、連盟は毅然と退路を断ち臨んだ。
そして見事に結果を出した。
ソウルオリンピックで、背泳ぎの金メダリストになった鈴木大地の話は示唆に富む。
「オリンピック期間中にとる選手の行動パターンには2つある。ひとつは自分の好きなように行動するかわりに、自分の競技結果にも責任を持つタイプ。そして、もうひとつは、上からの行動規則を守り、いい子にふるまうタイプ。結果を出す選手は前者の行動パターンをとり、結果に自信のない選手はいい子を装う。」と。
ハンマー投げの室伏広治は「記録のために投げたのではなく、ハンマー投げを楽しんだ。」と言い、水泳の北島康介は「めっちゃ気持ちいいっス。」と叫んだ。
これまでの常識を疑う視点と、チャレンジし続ける信念がアテネオリンピックでメダルラッシュの扉を開いた。
そこには様々な障害を乗り越えるイメージの集積、つまりクリエイティブ力があったからだと断言できる。