第318回 市民が司法を動かした

閉廷後の報告会で、意見陳述続行を喜ぶ原告・弁護団・支援者たち
閉廷後の報告会で、意見陳述続行を喜ぶ原告・弁護団・支援者たち

福島原発事故でふるさとを追われ、神奈川に避難してきた福島県の避難者は約2000名。
その中で、東電と国を相手にたたかいを挑んだ「福島原発かながわ訴訟」、知人に原告の一人Sさんを紹介されたご縁で、「福島原発かながわ訴訟を支援する会」通称「ふくかな」のメンバーとしてサポートをさせてもらっています。

原告団は約100名。みなそれまで平和に暮らしていた生活を奪われ、絶望のなかそれでも力を振り絞って戦うことを決めた方々です。
裁判では、原告および被告が口頭弁論で、裁判官を前に事故原因、賠償の補償についてお互いの主張を話し合います。
その中に「意見陳述」と言って、実際に避難者の人が今の生活や事故に対して意見を述べる時間があります。

難しい法律用語ではなく、避難者の心の叫びであり、毎回聞くたびに心にズシンと響く、最も大事な時間なのです。
しかし当初の話しあいでそれは毎回実施すると決めていたのに、東電と国は「裁判には必要ない」と裁判所へ取り下げを求めてきたのです。

避難者の肉声を聞かずして何が裁判か!と皆が憤り、意見陳述を継続するための意見を裁判所に提出する流れができました。
私も「ふくかな」のFacebook担当としてこの不条理を訴え、ふくかなのホームページに意見を集めてほしい!とお願いをした結果、賛同してくれる方々が続々と自分の声として協力してくれ、結果13,000人の方が34,000回も見るという数字を出しました。
そしてたった8日間という短い間にも関わらず、避難者22件も含め241件、A4で56ページにも渡る意見が集まりました。
さらにそれを裁判所に提出し、さらに新聞社にも取材を要請、記者さんの熱心な協力の末3紙に掲載もされました。

最終的に先日の口頭弁論後、その意見陳述の続行が継続されました。
弁護士さん曰く「裁判長は明らかに新聞はじめ、多くの人がこの訴訟に対して留意しているという雰囲気だった」と伝え、支援者と避難者の説明会では温かい拍手がわき起こりました。
大げさではなく、市民の声が司法を動かすという実例を一つ作ることができたのです。

とはいえこれからどれくらいの時間がかかるのか、まだ地裁レベルで果てしなく長い道のりです。
その間も福島は収束せず、放射能は漏れ続けているのです。
またさらに政府は再稼働を国民の声を無視して行おうとしているという誠に理解に苦しむ現状が続いているのです。

自分にできることなどたかが知れていますが、それでも力を合わせていけば、インターネットを通じて大きな力になると実感した今回のできごとでした。これからもできることを続けていこうと思います。

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