第184回 前略 池上彰さま

「世の中のニュースを分かりやすく伝える」という切り口で一昨年あたりからまさに「大ブレイク」した池上彰氏の記事が新聞に載っていました。

今やテレビでその顔を見ない日はないほどの人気の氏ですが、先日3月いっぱいでテレビやラジオのレギュラーを降り、取材・執筆に専念されるという発表をされました。「ニュースを分かりやすく解説する番組が増えてきたので、私の役割は終わった」とのことだそうです。氏の本も読んだことがありますが、確かに活字でも分かりやすい文体でした。

そんな氏が新聞に書いた記事のタイトルは「なぜ明るい面を見ないのか」。
記事によると「一昨年国内の殺人事件の件数が戦後最低だった」という、氏いわく「明るいニュース」の発表に対する主要各紙の反応を取り上げ「どうして新聞は、ニュースの明るい面を見ないで、暗い部分ばかりにスポットを当てるのか。そんな不満を持ってしまったのでした。」と結んでいます。

確かにそうだ、そのとおりだ!と直感的に共感しました。

しかしそのテーマとは別に記事の冒頭では、ご自身が全くあずかり知らない都知事選出馬の噂がまことしやかに一部のメディアで報道されたことに驚き怒り、「火のないところに煙を立てるメディアが存在することをぜひ知っておいてください」とも書いていました。

その記事を読んで「さすがだなあ」と感じました。

私は今まで氏のあまりのテレビ露出の多さに正直なところ少々辟易していたのですが、お茶の間であれだけ人気が出たのも、語り口ももちろんのこと、そのテーマを取り上げる切り口が、中立・公正なスタンスを保ちつつ、どちらかといえば良心的でリベラルな彼なりの見解を述べているからではないか、そう思ったからです。

まあテレビなのでそのあたりはどうしても限界があるでしょうし、ご本人はジレンマもあったかと思いますが、この記事は、氏のように知名度があり発信力の大きな人間ではなく、私達のような一般市民にとってメディアを通じて流れる情報と、それに基づいて発信された誰かしらの見解に対してどういうスタンスでいるべきなのか、そのヒントを教えてくれている気がしました。

氏の功績をブームで終わらせないためにも、新たなエバンジェリスト(伝道師)が登場してほしいと思いますが、受け取る側としてはしっかりとそのスタンスを、メディアの特性をも理解しながら見極められるようでいたいと思っています。

池上さん、多数のテレビ出演お疲れ様でした。これからの執筆活動でも、引き続き分かりやすいお話をお願い致します!

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