第181回 Even if it’s ideal,

Christmas
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今朝の新聞に、「店主の顔の見える小売店を行政は大事にできないか」という投書が掲載されていました。
1990年代初めに大店法(大規模小売店舗法)が改正され、各地に大型店舗が林立した結果、地域の人々が集うコミュニティの機能を担っていた小さな商店街がさびれてしまっている、行政は昔ながらの小売店を大事にする施策へ再変革するべきだ、という意見でした。
反面偶然にも同じ新聞でセブン&アイホールディングスの鈴木会長が「イトーヨーカドーの業態3割を見直す」という内容で、まさに上述の投書のとおり、地方の赤字店を統廃合するというようなことが書かれていました。

問題は好景気時に出店し猛威をふるった大型店が景気の悪化を理由に撤退した際、既につぶれてしまった商店街に再生の力はなく、結果として買い物をする場所がなくなり、地域の住民、特にお年寄りの「買い物弱者」が大きな打撃を被ることです。

私が子供時代を過ごした幡ヶ谷の自宅そばには小さな商店街がありました。
いつもうまそうなコロッケをあげていた怪獣みたいな顔のおばちゃんとか、着物を着て眼鏡をかけ、アンティークとも呼べるくらいレトロな機械で食パンを切ってくれた品のいい菓子屋のおばちゃん、魚をバンバン目の前でさばいてくれた瓶底眼鏡の魚屋のおっちゃんとか。
そういう「誰だかは知とからないけど何だか親しい人たち」が今でも私の中にはしっかりとした「暖かい記憶」として残っています。それは末っ子の私が買い物という家族への貢献活動のなかで触れあった「小さな社会」だったわけです。

そういうつながりを感じる場所が今の子供たちは必要だと思いますし、また、足の悪いお年寄りなどの買い物弱者にとっても、そのような場所が消えていっていることは現実的かつ深刻な問題だと思うのです。

そんな人々の為に、また自社の生き残りをかけて大型店舗に対抗し小さな「町のスーパー」を展開している中小企業の例も出てきているようです。
流通に限らずこれからの時代は、そのような人々を救うというような「社会正義的」もしくは「社会的価値」を提供、または標榜する組織が生き残っていく時代になるのではないかと思っています。

来年はさらに激動・変革の年になると感じています。私自身もその変化に対し、理想かもしれないけれど、あえて「人間らしさ」とか「あたたかさ」とか「思いやり」といったものを追いかけ、実現し、結果として社会に貢献する仕事へと繋げられる「力」を付ける年にしたいと思います。

今年も1年「The Value of Life」をご拝読頂き、誠にありがとうございました。
今後とも何卒よろしくお願い致します。

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