第177回 ワンアンドオンリー

そば大好きで、町の立ち食いそばにしょっちゅう立ち寄ります。
単価の安い商品ですから、非常に競争が激しい業界ですが、その中でも首都圏で
有名な「富士そば」に立ち寄った際に店内に貼ってある「商いのコツは『儲』という字に隠れている」という富士そばの丹 道夫社長の本が販売されているのに気づき、その場で購入して読んでみました。

この本は彼が1966年、富士そば第1号店を立ち上げてから現在1都3県82店に至るまでの経営の中で培ったノウハウ、教訓のようなものをまとめたものです。
200ページほどの本でしたが、読んでみると非常に読みやすい。
丹社長は現在74歳。愛媛県の出身で、成功を求め上京、そして挫折し帰郷することなんと4回を繰り返して弁当屋を起業し、その後不動産で成功を収めた後の1972年、富士そばの経営に専念して今に至るそうです。

中はとにかく現場を重視する社長の経営に対するこだわりが満載で、あっという間に読んでしまいました。

例えば「本物にこだわれ」という章では店の客層に女性客を増やしたいという目的で全店舗に本当の大理石を使っているとか、「テレビCMの色味にあわせて変化せよ」では、お客さんが無意識に目にしているテレビの色味が店内にあることで安心するとか。

また「商品開発は現場のアイデアで行う」という章では、毎年入れ替える15%の提案を現場にさせ、ヒットメニューで実績を上げたスタッフに報酬金を出すのだそうです。社長いわく「こういった循環が従業員のモチベーションを上げ、売上も伸ばすのです」とのこと。
この仕組み、「立ち食いそば」という商売の特性上、やはりやりがいのある仕事を現場で作りだす仕組みが重要だということを感じました。

社長は42歳にして別の夢の一つであった演歌の作詞家としてもデビュー、30曲を超える作品を作っているそうです。彼の青春時代のつらい時代を演歌に救われたというエピソードが原点だそうで、店のBGMも必ず演歌と決まっているそうです。

いろいろな経営者のかたの経営哲学をお聞きすることがありますが、それぞれ十人十色ではありますが、経営者はまずワンアンドオンリーであることが重要なのだな、と改めて感じました。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA