身体的な障がい者の方が日常の社会生活で抱えるストレスがどれほどのものか、私にとっては実際に想像もできませんし、まして出会うきっかけなどもそうそうないわけですが、先日そのような方のお話を、聴く機会に恵まれました。
広報のお手伝いをしている「次代の会」/の特別講演をお願いした田門浩先生。日本で6人しかいない「ろう弁護士」の方です。
先生の講演は2名の手話通訳者の方と向き合い、先生の手話をリアルタイムで通訳されるスタイルで始まりました。
先生のこれまでの軌跡が今回の講演のハイライトですので、ここで皆さんにも概要をお伝えします。
生まれつき耳の聞こえなかった先生は10歳のときにお父様を亡くされ、母子家庭で育った関係で社会福祉に興味をもち、13歳のときにろうあ者で司法試験に合格した山田裕明氏(現弁護士)の新聞記事を見て弁護士を志したそうです。
その後司法試験を目指すためにたくさんの高校から受験を断られながらも普通校を経て東京大学に進学。2年目から手話通訳の雇用を奨学金で賄う交渉を大学と成立させ、在学中から司法試験に挑戦開始。
5年かかって卒業後千葉市役所に勤務、激務をこなしながら通勤時間を利用して勉強、初受験から8年を経てついに司法試験に合格された後、司法研修所を経て現在東京四谷の法律事務所で活躍されておられます。想像していたのとは異なり、依頼者の方の80%は健常者の方で、障がい者の方は20%だそうです。
どれだけの困難やハードルが立ちはだかってきたのだろうか。
ここに至るまでの先生の努力を想像することなどできません。
しかし、それに立ち向かい、そしてその状況を変える為に戦い、克服してきた先生からは、非常に大きな「優しさ」や「器の大きさ」といった空気が漂っていました。
自分の為に戦い、そして今も依頼者の方の為に戦っている方だからこそ、その強さは優しさという形をとって表れるのではないか。
そういった意味においては私の理想である「優しさは強さ」を体現されている方だと強く感じました。
そしてその「意志のチカラ」を実際にこの目で見、そして聴くことができたことは、自分の挑戦できるスペースがまだまだ本当に大きいのだと思えたのがとても大きな収穫でした。
自分の小ささを認めるのは必ずしも快適なことばかりではないですが、到達したいレベルやスペースが広いほうがよい。
そんなふうに考え、どんどん刺激を受ける機会を作っていきたい、そう思っております。
P.S.先生の講演は来週より会のブログで掲載します。よければご高覧ください。