”米Google(グーグル)は2025年9月9日、AIを活用した検索機能「AIモード」の日本語での提供を同日付で開始すると発表した。” この記事を今朝ニュースサイトで読んだ。
生業として、永らく広告ビジネスの業界に身を置いてきた。80年から90年台にかけて、TV・新聞・雑誌を媒体にした広告は面白かった。B(ビジネス)toC(コンシューマー)として成立する広告によるコミュニケーションを愛してきた。2000年になり、紙媒体からネットへと意識が移り、ネットの広がりと共に、企業はこれからAI「ファンサイト」というファンを媒体とするコミュニケーション装置を自前で持つことが必須だと考えた。そして、その姿形を提案するため、2002年に起業した。それがファンサイト有限会社だ。そして2006年には、その実践を通して得た事例(キリンシーグラム社のウイスキー、ボストンクラブのファンサイト「極楽クラブ」)と概論をまとめ、『企業ファンサイト入門』として日刊工業新聞社から上梓した。
これまで、ぼんやりと霧がかかっていたことが、ここ2,3年ではっきりと見えてきた。それは、これまでの広告という概念がすでに終焉を迎えているということだ。もう少しあからさまに言えば、その実態は”まだ終わっていないふり”をしているだけである。テレビ・新聞・雑誌等の媒体に、かつての勢いがなくなったというレベルの話ではない。まさに、C(コンシューマー)は日常生活のなかにAIエージェントを取り込んだ生活実践をはじめている。それも猛スピードで。
B(ビジネス)toC(コンシューマー)の橋渡し役としての広告はあきらに AIに取って代わられた。つまり、人々は広告に喚起されて商品やサービスを購入するのではなく、AIの助言によって購買行動を判断するようになった。ただそうであっても、F/F(ファン/友達)は残る。なぜなら、AIの機能価値と情緒価値をベースにしたリコメンドに太刀打ちできるのは、ファンと友達のクチコミと推しだから。25年前から唱えていることだが、マーケティングの中心はファンと友達にシフトするのだ。
さらに言うならば、ファンのクチコミはヤラセやサクラではない生の声を重要情報としてAIエージェントは認識する。つまりは、ファンの声こそが1次情報としての価値があると認識するからだ。
もはや、広告にAIをどう活用するかといった議論に意味はないし、そもそも本質でもない。C(コンシューマー)やF/F(ファン/友達)の側に立つことで、その行くべき姿ははっきり見えてくる。
【お知らせ】倅元気が脚本と監督の映画『8番出口』(配給:東宝)が劇場公開しています。お陰様で、現在賛否をいただきながらヒット中とのこと。ご高覧いただければ幸甚です。