第1092号『語らずにいられない』

映画『国宝』李相日監督作品の勢いが止まらない。7月中旬で観客動員319万人、興収50億円超えもみえてきた。僕は公開翌日の6月7日(土)、妻と観た。公開されたばかりだったので、口コミなどの事前情報も入っていない状態での鑑賞だった。エンドロールが終わってもしばらく席を立てず、ただただいま観た映像体験に圧倒された。こんな気分になったのは、2010年に観た『告白』中島哲也監督、そして同年上映された『悪人』李相日監督を観て以来のことだ。

驚いたことや感動したことは、人から人へと静寂の湖に石を投げたごとく波紋のように拡がる。

事実、映画『国宝』は週が開け、映画・ドラマ・アニメのレビューサービス「Filmarks(フィルマークス)」では4.4の評価。しかも4.1から5.0の評価をつける人が76%という高評価。映画.comでは4.4、シネマトゥデイでは5となっている(いずれも5点満点中)。ネットでも「今年いちばんの映画」「とんでもない映画」「100年に一度の大作」「この映画こそが『国宝』」など、高い関心と評価が書き込まれている。

映画に留まらず、味覚やサービスでもこうした事象が起こることがある。僕が体験した事例で言えば、ファンサイトとして最初に手がけたキリンシーグラム社のウイスキー「ボストンクラブ」との出会い。このお仕事は、博報堂の当時担当だったN氏とのご縁からだった。N氏からキリンシーグラム社の最高位のウイスキー「エバモア」を試飲させてもらい、この普及版として「ボストンクラブ」のファンサイトを作るという命題をいただいた。キリン・シーグラム社のウイスキーの特徴はシングルモルトではなく、ブレンデッドウイスキーだとうこと。数種類のブレンドで芳醇・淡麗な香りと味覚を作り出すことにある。口に含むと鼻腔から喉まで、まさしくその味わいの広がりと、僅か1000円台の価格で展開するという事実に驚いた。初めての試みだったがネットを使って、ウイスキーファンにこの驚きを伝えたいと思った。25年も前のことだ。そして今、このウイスキーの遺伝子は「富士山麓」へと繋がっている。

もう一つ事例をあげれば弊社の得先、新潟県長岡市に本社を置く岩塚製菓社のおせんべい。先代の社長にお会いしたときのことだ。ご挨拶のあと、当然の流れで製品の特徴についていろいろと伺った。すると、社長が湯のみ茶碗を3つと、お湯を用意するように社員の方に指示された。少しして、テーブルの上には3つの湯のみ茶碗、ポット入ったお湯、そして岩塚のおせんべいと競合他社2社のおせんべいが用意された。岩塚製菓、競合K社、競合S社、それぞれの豆せんべいを砕き、それぞれの湯のみ茶碗に入れ、お湯を注いだ。そして、湯気とともに湧き上がる香りを嗅いだ。M社のそれは香料臭を強く感じた。K社はM社ほどではないが、やはり香料臭が気になった。そして、岩塚製菓の豆せんべいからの湯気は、お米本来の甘みを含んだ香ばしさが漂っていた。こんなにも違うのか。(その後、唯一100%国産米使用は岩塚製菓だけだと知り、その違いの理由に納得した)ほぼ同じ価格、量でありながらあまりの違いに驚いた。

驚いたことや感動したことは、人から人へと静寂の湖に石を投げたごとく波紋のように拡がる。その真意は何かと問えば、「語らずにいられないからだ」。ファンサイトとは、まさしくこの事実を伝える作業なのだ。

【付録】ファンサイト有限会社の取締役、川村大輔のブログです。2011年に入社し、メインプレーヤーとして頑張ってきました。これから更に主軸として活動していくとの思いも込め、仕事の取り組みを中心に、隔週でブログを配信します。ご高覧いただければ幸甚です。

大輔の七転八倒
第116回「霧が晴れるまで」

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先日も成果を急ぐあまり、提供するコンテンツを見直しをしたいというお声がありました。


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