第1085号『線を引く派』

本を読んでいて、気になる箇所に線を引く派(そんな派があるかどうかは定かではないが)である。書物を汚すことはもってのほかとのお叱りを受けるやも知れないが、むしろ本に対しての愛情表現であるとすら感じている。ともあれ、この方法を採ってかれこれ20年以上になる。

若かりし頃、どちらかといえば本を読むことはあまり得意ではなかった。読み進めていけば面白くなることはわかっている。でも、そこまで我慢できない。まどろっこしいし、眠くなる。ともかく、じっとして読むことが苦手だった。

あるとき、プレゼン資料作成に必要で図書館から本を借りてきた。そのなかに薄く鉛筆で線が引かれた箇所を発見した。いまや絶版となった小野二郎著作集の「書物の宇宙」という本である。公共の財産物に線を引くなど、不届き者である。とはいえ、その箇所が気になり読んでみた。20世紀初頭の英国で、なぜ労働者が紅茶を受け皿で飲むようになったかに関しての記述だった。読んで、なるほどと膝を打ち腑に落ちた。おそらく、鉛筆で線を引いた御仁も、おもわず得心し引いたのだろうと想いを馳せた。そして、線を引いて読む、こんな読書のやり方もありだなと思った。

さて、本を読みながらラインを引くにも、それなりにコツのようなものがあるのだ。僕は2つの「な」をベースにしている。1つ目の「な」は、なるほど、こういうことかと腑に落ちたところに線を引く。2つ目の「な」は、なんで、と疑問を感じたところに線を引く。線を引くことで、作者と会話をしているように思えた。こうして、気が付けば、本との距離がとても近く感じるようにもなった。

ときどき本箱を眺め、気が向くままに読了した本を手に取ることがある。そして、ページを捲る。そんな時、かつて引いた箇所を拾い読みする。なぜ線を引いたのか?その理由を自問してみる。こうして、また新たな発見と気付きを得ることもままある。再読することは、過去と現在を結ぶ自分自身との対話でもあり、自分再発見のための重要なノウハウでもある。

【付録】今年3月にファンサイト有限会社の取締役に就任した次男、川村勇気のブログです。これから隔週でブログを配信します。ご高覧いただければ幸甚です。

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#2 「生産性」という羅針盤

ファンランドへようこそ。ファンサイト有限会社、取締役の川村勇気です。2週間早いですね。
ファンサイトでいま私が担当しているのは主に新規開拓やアライアンス、新規事業の企画などのフロントラインなので、組織の窓口として外部の方とお話しする機会は本当に増えました。

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