福島原発事故により町長はじめ1,000人を超える町民が町ごと避難しなくてはならなかった福島県双葉町。
埼玉県加須市にある旧騎西高校に避難した町民を、静かな目線で追い続けたドキュメンタリー映画「フタバから遠く離れて」を見たのは2012年のこと。
とある別の映画会で一緒になった男性が、この映画を撮った舩橋淳(あつし)監督だと知り、横浜での上映の際に、元NHKアナウンサーで現在はフリージャーナリストとして活躍中の堀潤さんと、これも事故後に友人となった福島 富岡町で神奈川に同じように避難した坂本建さんとのトークセッションイベントを主催しました。

事故当時放射能の拡散状況を政府から何も知らされず、 結果として最も線量の高いエリアを避難した町民のみなさん。
まさに着の身着のままで日常生活を、いや故郷を奪われて廃校 になった教室での生活を強いられることになった町民のみなさん。
多くのお年寄りで構成されたそんな町民のリアルな姿をどうしてもこの目で見たいと、2012年の大晦日にボランティアでおせち作りに妻と友人と加須に行きました。

自分の身に当てはめると、想像もできないような状況で、ボランティアが準備したおせちを食べ、童謡を大きな声で歌い、自分の家がないのに私らには「よいお年をお迎えください」と頭を下げてとても寒く強い北風の中廃校へ帰って行ったその姿が忘れられません。
今回、舩橋監督がその映画「フタバから遠く離れて」の第二部を、市民の出資、クラウドファウンディングで製作資金を募り達成、ついに完成しました。
第一部の後、町民とともに避難し、その後も子供の被曝を避ける為に必死に戦ってきた井戸川町長が町議会の不信任を受け辞職した後、今年の春までを新たに追い続けた作品です。
この作品が明日11月15日(土)から、東中野ポレポレにて公開されます。今後順次全国にて公開予定とのことですが、それに先駆け、今回は上映期間中に豪華ゲストによる監督とのトークショーが連日開催されることになりました。
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その中の12月7日(日)、監督から声をかけられ、原発事故により人生が変わってしまった二人の福島出身の友人、坂本建さんと小野田義孝さんと一緒に、私も登壇させていただくことになりました。
坂本建さんは富岡町の家を出され横浜に避難しながらも、福島原発かながわ訴訟で原告団として共に戦い、小野田さんはふるさとである双葉町を失い、弟さんを原発関連しで失いながらも、愛するふるさとのために除染活動へ志願しています。
他の日のゲストの方も、京都大学の小出先生、芸人でありながらもこの事故をひたすら追求し続けるおしどりケン・マコさんなど本当に凄い方ばかりですが、この日は映画と同じく、あの日を境に人生が変わってしまった人のリアルな声が聞ける貴重な機会です。
本当にこの映画を、日本国民全員が見てほしい。
政治や経済といったマクロの話をする前に、「いまそこにある現実」を見つめなければ、これからの日本が原発というもの、エネルギーというもの、さらに政治というものに対する考えを語るところにはいけないと思っています。
ぜひ、ご家族や友人、お知り合いの方にこの映画の存在を知らせてください。そして可能ならみなさんが直接見て、そして今日本が抱えていて、これから半永久的に向き合わなければならなくなってしまったこの問題を考えるきっかけにしてほしいと心から思います。