
ここに1冊の本があります。
「風のとおり道」という本です。
昨年のボランティアで出かけた宮城県女川のバスで一緒になったSさんが、自費出版で60冊だけ刷った本です。
いつもはフェイスブックで毎日やりとりしていますが、昨日の晩、本当に久しぶりにお友達のKさんと妻で野毛でお会いすることができました。
Sさんは横浜市内に住む会社員の方ですが、若いころからボランティア活動にいそしみ、今回の震災後も、ひたすら何の援助も受けず「自費」でお友達の方々と、74人が亡くなった石巻の大川小学校近辺はじめ各地の支援を献身的に継続されている方です。
この本は、絵やマンガの経験が全くなかったSさんが、その大川小学校のお母さん方からもらったヒマワリの種を育て、そしてそのヒマワリが花を咲かせるまでに起きたさまざまなエピソードを「絵日記本」として綴ったものです。
当初はネット上のコミュニティサイト「フェイスブック」上で彼のお友達の間でひっそりと始まりましたが、彼の描くかわいく可笑しいヒマワリとモグラ、そして犬のキャラクターによりどんどんとファンが増え「ぜひ出版を!」という熱い声に応えて、これもまた「自費」でSさんが出版までこぎつけたものです。
そこには「全く見ず知らずの人に対してここまで人ってやさしくなれるんだ」「ここまで人の心を勇気づけてあげることができるんだ」という驚きに近い感情を引き起こすパワーがありました。
絵がうまいとか、ストーリーが良くできている、という話の以前に、とにかくそのひたむきで善良な人の思いが、読む人の心を直撃するのです。
普段はフェイスブック上でも割とすっとぼけたことばかり話し、見かけも大きなカラダでちょっとコワモテなSさん。
しかし今回この話をブログで書いたよ、ともし彼に言ったら、大きな声で「そんなそんなはずかしい!!!止めてください!」というような方で、その謙虚さも心から尊敬してしまいます。
Sさんの仲間には、私とも同じくフェイスブック上でほとんど毎日互いの情報を見ながらやりとりをしているお友達が何人もいます。
みんな同じような思いで、誰に評価されることや感謝されることなどこれっぽっちも期待せず、それなのにひたすら明るく支援を続けています。
こんな尊敬できる人達に出会うことができた、そして互いが生きていることを、コメントやいいね!で毎朝確認しあい、そして思いを共有できる。
それって311以降「変わっていきたい」と願う私を含めた人々にとって一番の価値なのではないか。
彼が書いた本、そして仲間と集めてみんなで手作りした東北の流木を使ったキーホルダーを前に、じんわりとした温かい思いを噛みしめています。
もし可能であれば、今でも活動を続けているSさんらの活動を支える支援金の支援をお願いします。直接は彼らに渡らなくても、彼らと同じような方々の支援になります。ご協力をお願いします。
NPO DSP災害支援プロジェクトhttp://dsproject.org/
支援金の振込先 http://dsproject.org/?page_id=65
