第1099号『この国の姿を考える』

トランプによる高関税政策とは何か。僕なりに見聞きしたことをまとめてみた。

米国政府は、これまで大きな財政赤字を55年にわたり続けてきた。どんな状態だったのか?国内でモノを100しか作っていないのに、モノを外から持ってきて110とか120とか消費してきた。その穴埋めを政府が面倒を見てきた。しかも、タニマチのように、海外への莫大な援助をし、散財してきた。その結果、赤字が積もりに積もった。

この赤字の山、数字をみれば一目瞭然である。2024年度の財政赤字はコロナ禍期を除けば最大の1.8兆ドル(約270兆円)。もはや返済不可能と言われる日本の赤字でさえ、10兆円台である。これと比べても、とてつもない規模であることがわかる。だから、この財政赤字への対応をなんとかしなければ、米国は破産してしまう。

では、この状況を回避するためにはどうするか?トランプ政権が採った施策は、高額の輸入関税によって全世界に増税を課した。力を背景にして、みかじめ料を釣り上げた。こうして歳入をアップさせ、タニマチとしてこれまでばら撒いてきた人道支援や同盟国への軍事支援の縮小、カットを拡大した。

どうみても、トランプがやっていることはありえないほど乱暴だ。しかし、米国内では意外と非難する人は少ない。なぜかといえば、長い間、アメリカ政府は野放図にお金を出し、いわば損をしてきたと思っている人が多いからだ。米国政府が貧乏になったのは、同盟国に騙されたせいだと。

もはや、アメリカが全世界のリーダーであることができなくなっているのに、歴代大統領は放置してきた。これをトランプが一気に変えようとしている。シビルウォーつまり内戦といえるような状況がいまの米国ではないか。だから、違う大統領になっても、“世界の面倒はもう見ない”という態度は変わりそうにない。
米国でモノを売りたいなら米国内に工場を作り、米国人を雇用しろと。いわば鎖国のような状態にしようとしている。

では、米国が咳をしたら熱を出すといわれるほどに影響をうける我が日本はこれからどうしたらいいのか?

トヨタにしろユニクロにせよ、グローバル化によって事業を支えてきた。トップ企業は、激烈な国際競争を勝ち抜くために、生産性が高く効率的で世界のどこでも互換でき、不要になれば廃棄しても構わないという仕組みと人材を求めて、現地生産を推し進めてきた。そして、作った製品の多くを米国に売ってドルを稼ぎ、そのお金で海外から食料や燃料をを買ってきた。しかし、いま米国の革命的な方向展開で、これまでのような構図がこれからも続くのか。

こうした状況の中で、日本と日本人を見つめ直してみる。この国で生きる大多数は日本語しか話せないし、ここから出て行くこともできないし望んでもいない。老いも若きも、男も女も、病人も、健常者も、能力の高低にかかわらず、このまま皆が生きていくことが出来るのか?

この国の姿はどうあるべきか、本気で考える時がきている。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA