
F先生にお会いしました。
第一印象は「鋭い。しかしなんとも暖かく楽しみを知っている目をした方だな。」
F先生は、1972年設立という長い歴史をもつ、国内最大級の国際協力NGO(非政府組織)
「シャプラニール」の設立当初からバングラディシュはじめ南アジアの国々を支援する活動に
なんと36年にわたり貢献してきた方です。
36年・・・・ ほとんど私の人生と同じくらいの長さ。そんな先生に直接いろいろなお話を聞ける
チャンスをもらいました。場所は人形町の誇る老舗居酒屋笹新です。
先生は「日本の経済成長の流れの中で、政府と企業という大きな2つの仕組みの中で
アイデンティティを見つけるという生き方を選択しなかった自分に、バングラディシュの国や
人々が本当に多くのことを教えてくれたんだよねえ。」と焼酎のお湯割りをくぴくぴ飲みながら
語ってくれました。
現在バングラディシュは校長先生でも15,000円程度の経済水準ですが、それでもグローバリズム
の流れが押し寄せ、人材も都市部へ集中化、どんどん発展を重ねていっているそうです。
先生は「何が自分のアイディンティティか、などということを考えるなんて余裕はなく必死で
やってきたけど、ここ数年は周りの方々がそれを評価してくれることになっていることを
ようやく実感していて、とても楽しいよ。」とおっしゃっていました。
いくつかの大学で講義をされていて、受け持ったクラスの若い学生達が最初はグダグダ
していたのが、講義を聞くうちに真剣に授業に取り組むようになり、どんどん変わっていくさまに
物凄いエネルギーを感じるともおっしゃっていました。
最近の若い人たちに対して悲観的に考えていた私にとってその話は新鮮でした。
これだけ社会が混沌と不安の中でもがいている状況であるからこそ、先生のような主義や
理念に基づいた生き方に共鳴する若者も逆にいるのだ。そう感じたのです。
また、華美が美徳とされた戦国時代にわびさびというスタイルを提示した千利休のように、
現代は全く新しいイノベーションが求められており、確かにその実感を感じているといっていました。
そんなこんなで話しは尽きず、あっという間に楽しい時間はすぎていきました。
とにかく全てが貫いてきた「ホンモノ」のコトバだけに、とても説得力があるのです。
『理念に基づいた行動の積み重ねでしか「ホンモノ」にはなれない』
私も未熟ではありますが、先生のような「ホンモノ」を目指して歩いていきたいと思います。
P.S シャプラニールでは現在古本やCD、ゲームソフトなどを捨てずにシャプラニールを通じて
業者に買い取ってもらった金額を南アジアの人々の支援活動に役立てる「ステナイ生活」
を行っています。
古本2冊でストリートチルドレン20人分のミルクが購入できるとか、CD3枚で6人の大人が文字の
読み書きを学べるそうです。使用済みのプリペイドカードも使えるというのにはびっくり。
ぜひ覗いてみてください。