第233号『母の思い出』

出張で大阪にいた朝、義妹から電話がきた。 朝の電話は、あまり嬉しくない。 なぜなら大概、イヤな知らせが多いからだ。 受話器の向こうから、義妹の「母が亡くなった」との声が震えていた。 その場で、何度か義妹、地元の友人、従兄

第232号『ミッション』

それまで粗悪品の代名詞だった「メード・イン・ジャパン」の品質が1980年代に入り、極めて良くなった。 一番の輸入国だったアメリカから、その原因究明のために調査団が来日した。 その調査団が全国各地の工場や現場で、神のように

第231号『浜町アトリエ』

2月16日、生前カマタスエコさんが出演したテレビ番組収録の立会いで浜町スタジオにでかけた。 思えば、この日、彼女とお会いした最後の日となった。 (カマタさんの思い出はファンサイト228号「戦友の死」に記載) 撮影を見届け

第230号『やる気』

リーダーが組織の結束を固めようとするのは、自明のことである。 しかし、結束の押しつけは反発も呼び覚ます。 例えば、石原東京都知事は公立の学校で、日の丸掲揚を押し進めようとしている。 一見、正当性があり否定しにくいことであ

第229号『彼は遅れてやってきた』

人生には、遅れてやってくる人がいる。 そして、世間ではそういう人が最終的には勝ち残っているのをしばしば目にする。 間違いなく、羽原大介もその一人である。 羽原大介とは何者か。 昨年の日本映画界で、数々の賞を獲得した映画、

第228号『戦友の死』

多くの仕事を共にしてきた、カマタスエコさんが2月28日、クモ膜下出血で亡くなられた。 エッセイから写真まで、幅広い守備範囲を持つ家庭料理研究家。 旅と、なぜかきのこが大好きな主婦。 住まいは、地方都市。 毎朝5時には全快

第227号『コスト意識』

仮に、もし、いまあなたが明日プレゼンを予定しているとしよう。 そして、その企画書が、ようやく完成したところだ。 さて、その企画書を、いままさに同じ部署のアシスタントにコピーを依頼するところなら、ぜひ、やって欲しいことがあ

第226号『決断力を養う』

有利か不利か、あるいは得か損かと考えて、有利や得な方を採ることを「決断」とは言わない。 それは、「判断」であって「決断」ではないからだ。 では、「決断」とはなにか。 有利か不利かも、得か損かも「判断」できないときに下すの

第225号『ecstasy』

ものの書によれば〈ecstasy〉とはラテン語を語源とし、普通〈恍惚〉と訳す。 そういった精神状態を指すので、基本的にそれで相違はない。 ただ、本来、この言葉のニュアンスとしては〈いまあるところからはみ出てしまう〉という

第224号『ヴァレンタイン』

はじめての海外旅行の地はローマだった。 いまから30年も前のことである。 空港からタクシーに乗り、ホテルへ向かう。 車窓からの眺めは、例えば、「ローマの休日」、例えば「フェリー二のローマ」を観ているようで、すべてが映画の